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95 ヒロと妹



 隆二は、慎重にスプーンをヒロの口元へと運ぶと、ヒロは唇を動かし飲み干した。

 それを見て、助かるかもしれないと思った。完全回復をさせる誠実を煮てつぶしたのだから効果はあるはずだ。

 2口ほどはかなりゆっくりと飲ませた。それから、少し表情が和らいだので、もう少し飲ませる。ゆっくり時間をかけてだったが、カップ1杯分を飲み干すことができた。これなら大丈夫かもしれない。



 「ヒロくん、大丈夫そうならこれも食べてくれ。」


 ヒロが薄く開けた口へと慎重に食べさせる。

まだ1個分にもなっていないので残りのカップもゆっくりと食べさせた。柔らかいから食べられたのかもしれない。



 「全部飲めた…よかった…これできっと助かるはず…」

 「リュウジさん今のは?」

 「今のは、特別な実の汁です。煮だすのに、別の果物も足しましたが…。」

 


 ギルマスに答えてふと妹さんを見た。骨と皮で生きているのだろうか?



 「この子は?」

 「ヒロの妹のロロナだ。枯れ死病で、もう2か月も寝たきりだ。それでも粥のおかげでどうにか頑張っている。」

 


 こんな状態の子に与えていたのか…この子では、粥の汁を飲ませるのだって大変だろうに…。

 隆二は、ダメ元とばかりにデカビタミンを取り出した。ビタミン各種の入った清涼飲料水だ。炭酸が入っていると飲みにくいが、抜くとビタミン臭で飲みにくくなる。隆二は、りんごジュースとデカビタンを誠実の入っていたコップに注いだ。



 「これ飲ませれば少しはいいかも…骨折とか病気は直せないけど…栄養失調なら効果はあると思う。」

 「リュウジさん?」



 隆二は、妹のベッドサイドへ膝立ちをした。

 


 「ロロナちゃん、目を開けられるかな?」

 


 ベッドに寝ている少女はゆっくりと目を開けた。少ししか開けていないが、声は聞こえているようだ。



 「今から栄養を与えるから飲むんだよ。」

 


 少女は小さくうなずいだ。

 


 「体を起こすよ。痛かったら教えてね。」

 


 そう声をかけてから腕抱きにして体を起こした。骨の感触しかなく壊してしまいそうで怖い。そんな子にスプーンですくって飲ませる。コップ1杯分を飲ませると、少女は眠ってしまった。

 二人とも寝ているが、頬に赤みがさしていて先ほどまでの生きているのかわからないような顔色ではなくなっていた。



 ギルドマスターは2人の様子に驚いていた。



 「これなら大丈夫な気がしてきた。一度ギルドに戻って片づけたらまた来る。」

 「それなら、僕も片づけに行きます。」

 「シアン、悪いね、頼むよ。」



 隆二は、二人を送り出すとヒロとロロナをお湯で拭いた。ヒロは血や土で汚れていて、ロロナは長時間手入れのされていない臭いを発していたのだ。

 着替えをさせて裏庭で洗濯をしてしまう。

 途中、様子を見たが問題はなさそうだ。

 

 

 


読んでくださりありがとうございます。


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