78 スキル解放
翌朝、朝一番にスマホを立ち上げた。
いくつかのメッセージの中に、システムサポート解放がある。
『システムサポートを開放しますか?6000MP消費します。』
「YES」
『システムサポートを開放しました。システムサポートに名前を付けてください。』
どうしようか…名前か…インベントリがリリーだが…あれは自己申告してくれた。
システムサポート…システム?サポート?システム…シスサポ?
うん、シスサポでいいだろう。間違えないし、忘れない。
「シスサポ」
『シスサポですね。登録します。』
『スマートウォッチと同期しますか?』
「YES」
『しばらくお待ちください。』
『主、同期が終了しました。私はシスサポです。スマートウォッチを身に着けていれば、発語に対して応答します。応答事項は、主へ直接届けるため対外的には無音です。』
「わかった。」
「シスサポ、マイスマホと同期することはできるか?」
『現在はできません。MP15000で解放されます。』
「わかった。」
「物の名前をわかる機能はある?今はインベントリに入れてわかる状態だ。」
『スマホのレンズで名前は表示されます。』
「なるほど」
隆二は、スマホのレンズを立ち上げてこの世界の物を映すことにした。ベッドを映すとベッドと表示さえた。名称しか出ていない。
「ほ~」
「これ、そのものの詳細を見る方法はあるか?インベントリに入れた時にわかるのと同じような説明が欲しい。」
『説明は、MP10000で解放される機能です。』
「なるほど、ちょっと待って…」
隆二はノートを取り出して、マイスマホとの同期15000、レンズの説明10000とメモをした。
目的が明確になったが、これだけのために6000MPも使ったのか?
ちょっと後悔しかけたが、言語でのやり取りができるだけかなり楽になったと思い出した。スマホを取り出せなくても、行動する手段が多いならそのほうがいい。
インベントリだって、リリーに話しかけることでできることが格段に増えたことを思い出した。
夢中になっていたが、9時を過ぎていることに気が付いた。
慌ててシアンの部屋の鍵を開け、身支度を整えたら部屋に来るように言う。
今日の朝食は、新しく交換するわけにはいかないので、手持ちの食材から昨夜購入しておいたウインナーの乗ったパンをインベントリから取り出した。
それとテーブルに出しておいたお茶を淹れる。
「おはようございます。」
「おはよう。食事にしようか。」
「はい!」
シアンはここ数日で、ずいぶんと変わった。言葉遣いは都度教え、直させていた。服は2着を着まわしてもらっていた。毎日水浴びに行き、洗濯もして過ごしてきたが、たった数日で、体つきも健康なやせ型程度にまでなっていた。
MPは8時間ほどで2000MPが戻っているようだ。毎朝、米で2000MPと朝食とその日の飲み物を手に入れても夜には満タンに戻っていた。そろそろ朝交換しておく物を増やした方がよさそうだ。麦800gと小麦粉1kg500gに悩んだが、小麦粉2㎏を追加することにした。
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