77 卵粥
「次回、卵粥も売ろうか悩んでいまして…よかったら、今日の皆さんの粥は卵粥にして、食べてから考えてもらおうかと…。」
「そういうことか…俺らは嬉しい。だが、卵がゆなんて一体いくらで売る気だ?」
「そうですねぇ…小銀貨3枚は高いですか?」
「卵入りなんだろ?それなら、高くはない。」
「そうですか、今日はいつもの値段でいいので入れていいですか?」
「ああ、もちろんだ。」
隆二は卵を一つ取り出すと、竹カップに割り入れて溶く。少し差し湯をして沸騰させた粥に卵を入れてかき混ぜ、火からおろした。
少しの塩を足してから、それをいつも通りに分ける。
それを見て、ギルマスは戸惑っていた。
卵という物は、山にある木の上にできる鳥の巣を探し出し、その巣から親鳥がいない隙に採取する。産まれてからの日数がわからないため、中途半端に孵っているいることも少なくない。食べ物としての卵はそう簡単に手に入らない高級品だ。
「本当にいつも通りでいいのか?」
「はい、21杯なので銀貨4枚と小銀貨2枚になります。水で増えてしまったので並々で申し訳ないです。」
「いや、そんな…ありがとう」
ギルマスから金を受け取った隆二は、片付けを終えるとシアンと共に宿へ帰った。
隆二は、宿に戻るとカセットコンロにフライパンを乗せ、サラダ油を垂らして卵を焼いた。軽くかき混ぜて塩コショウをし、スクランブルになっていない卵焼きにした。食パン8枚切りに卵焼き、マヨネーズの順で重ね、最後にプランターから摘んだベビーリーフを挟んだ。ハムサンドも作る。それらを半分に切って皿へ盛り付けた。
シアンは作っているのを見て、目を輝かせていた。
ギルドで作っていた卵粥に興味津々だったので、夕食に朝食のようなメニューになってしまったが出すことにした。
シアンが目を輝かしてみていた。
「シアン、卵を入れたぞ。食べよう。」
「うわぁ…ごちそうだぁ」
「この黄色いのが卵だよ、食べてみて。それとこっちがハムという肉だ。」
「肉!?」
「ほら、食べよう。皿に盛ったのを食べて足りなければ、かごの中に入っているのをお代わりしていい。」
「こっちはスープだ。野菜も食べないとね。」
「ひゃい…もち…むぐ…美味し…」
「飲み込んでから話そうか。口に物を入れて話すのはよくないよ。」
飲み物にコンソメスープを作り、シアンの分はさらに湯を足して薄めていた。今は11才であと1年するとこの世界の成人だという。とても小さくてそんな年齢には見えなかった。
すこしでもしっかりとした体つきにしてやりたい。たっぷりと食べさせて今までの路上生活で遅れていた成長を促そうとしていた。
シアンを部屋へ戻してから、隆二は『評価』を見て、MPの母数が6500MPを超えたのを再確認していた。
明日は粥売りもないのでシステムサポートの解放をして、おとなしく過ごそう。
そう心に決めて食品に交換してから眠りについた。
読んでくださりありがとうございます。
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今日は、全部で5本UP予定です。