71 新しいスキル
隆二はいつも通り『評価』を開いた。
夜のルーティーンであるMPの余裕を使い切るためだ。
『おめでとうございます。6000MPを超えました。6000MPの消費でシステムサポートを解放できます。』
唐突にシステムメッセージが出てきた。
え?
基礎値が上がると、機能追加があるのか。
「解放」ボタンを押したくなるが、「今はしない」をタップした。
今解放したら、足りなくて死んでしまう。もう少しせめて6500くらいになった時に解放しよう。
寝起きで解放し、その日一日はMPを使わなくていいように宿でまったり出来る日がいい。いや、それとも朝少し使って寝る前に完全回復している状態で解放したほうがいいか?
いづれにしても今ではない。
隆二は、そう決めると500追加された時に困らないようインベントリへ入れておける食品や物、カセットボンベなどに交換してその日に備えることにした。
ベランダのプランターの作物たちは順調に育っていた。
この地域では、飢饉が続いているというのが不思議なほどの差だ。ベビーリーフはそろそろ食べてもよさそうだ。
付属のプランターへ植えた物はもちろんだけど、60㎝の盥に植えた物もみっちりと芽吹いていた。これが育てば結構な食べ応えがあるだろう。
この世界の土でも十分に育っている。途中で枯れるのかもしれないので、注意してみているがとても順調に見えた。
蕪も育ってきていて、実が膨らんできていた。小さな蕪は見ていてもかわいいし、楽しみでもある。
隆二は、あの日から2日に渡りスライムの再仕分けを行い、種別ごとにできていた。
さらに時間がある時にスライムを取り出していた。
インベントリではゆっくりとだが時間は経過する。スライムは色によって分裂増殖する日数が異なるらしいと気が付いたので、日数に計算して予想を付けていた。
スライムを捕獲した川の水を与え、また戻すのだがスライムを飼ってどうするつもりでもない。今は珍しいので様子を見ているが、今のところ何かに役立つ感じはしていなかった。
もしかしたら、一緒に戦ってくれるかもと期待していたが、そんな気配はない。
それでも、ぷにぷにむにゅむにゅとした感触は楽しくて、やめられない。
人前に出すのはよくないだろうと思い、気を付けていた。
隆二は、MPで効率的に商売になりそうな料理を考えていた。
卵スープはどうだろうか?
卵1pで500MPもしていたが、コンソメ5個100MPと片栗粉と塩があればこの世界ならそれなりの味付けにはできるだろう。
青実が欲しいが、それは蕪が育てば蕪の葉を使うのもいいだろう。
650~700MPで何人分まで作れるだろうか?
通常であれば200~300㏄でコンソメ1個だから、5つで1500㏄…この世界の味に合わせるなら倍に薄めて3lかもう少し薄めてもいいかもしれない。
卵10個は多いかも…コンソメをもう1p増やして800MPにしてなら6lに卵500くらいだからここは水6.5lにして7l作るとしよう。
2番お玉で1杯は180㏄なので、38.8杯か…粥の方がMP効率はよさそうだ。
いや…むしろ卵粥にするか?
コンソメか和だしを使って雑炊もいいだろう…40lの粥に卵を10個入れて小銀貨3枚はどうだろうか?それとも、半分だけ卵入りにするか?
半分だけ卵粥にして様子を見ようか?
それで反応が良ければ次回以降に考えればいいだろう。
隆二は、そんなことを考えながら、スライムをぷにぷにして遊んでいた。
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