65 スライム
宿に戻った隆二は、インベントリからスライムを入れた木箱を取り出した。
木箱2つ分のスライムだが、詳細を見てもスライムとしか表示されなかった。
それで一度取り出したのだ。
隆二は、月明かりの下でスライムの箱を開けた。
「なるほど…スライムとしか表示できないのも仕方ないか?」
箱の中がカラフルで、色が違う。もしかして色が違うとスライムとしても違う物なのかもしれない。
川の水は10数箱分ある。
「リリー、このスライムを種別ごとに箱へ入れて。」
『主、意味が分からないにゃ。』
おっと否定されてしまった。
そうなると、どうするか…。物理的に分けて見るほうがいいか?
「リリー、水盥を5つ目の前に出して。」
『かしこまりにゃん♪』
取り出した水盥を手にすると、最初はわかりやすい赤に狙いを定めた。
上の方にいるので、簡単に掬えた。それから、目につく限り色別にスライムを掬ってみる。
水盥ごとに1つのスライムが入った。
「リリー、この水盥を入れて。」
『かしこまりにゃん♪』
詳細を開いてみる。
『水盥(赤スライム):酸性の水を好む。触れると危険。』
『水盥(黄スライム):アルカリ性の水を好む。触れると危険。』
『水盥(青スライム):水を好む。』
『水盥(緑スライム):竹の若葉を好む。上から落ちてきて危険。』
『水盥(深緑スライム):草や葉を好む。上から落ちてきて危険。』
おぉっ!?
危険ばかりだ、何事も無くてよかったよ。
それにしても、とりあえず使い道が分からないが、せっかく捕まえたのだからインベントリで飼っておくか。使い道はそのうち考えよう。
隆二は、危険の文字を見たので、アイテムリストからゴム手袋とレインコートを取り出した。レインコートは前後逆に着て帽子を顔にかける。
これでどうにか出来るかはわからないが、ないよりはましだろう。
「リリー、水の入った木箱を5つここに横並びにだして。」
『かしこまりにゃん♪』
「リリー、水桶を1つ右手に出して。」
『かしこまりにゃん♪』
隆二は、木箱の前にスライムの入った水桶を置いた。その後ろの木箱へ同じ色のスライムを淹れればよいだろう。
右手に取り出した水桶でスライムを取り出しては色別に仕分けをした。
2箱分のスライムを仕分け終えたころには22時を過ぎていた。
「疲れた…」
「やっと終わった。スライム多すぎたか…」
「リリー、インベントリに『スライム』フォルダを作って。」
『かしこまりにゃん♪』
「リリー、木箱を『スライムフォルダ』へ収納して。」
『かしこまりにゃん♪』
隆二は、広くなった部屋で伸びをした。それから上半身を大きく回して体をほぐす。
「よし、夕食を食べようかな。」
「夜遅いから…」
アイテムリストを開き、おにぎりの中から鮭とシーチキンマヨを選んだ。それから、スティックサラダと麦茶も選んだ。
『箱』の中から箱(食品)を取り出し、紙コップに味噌とマヨネーズを少しずつ入れた。
味噌とマヨネーズを大根スティックでかき混ぜた。
パキッと歯ごたえがあり、生の野菜を食べている感覚がつよい。
おむすびも食べ終え、最後の胡瓜スティックで紙カップの中の味噌マヨを全て掬い取り、口へ放り込んだ。
インベントリの「スライムフォルダ」を開いた。
『木箱(赤スライム)』
『木箱(黄スライム)』
『木箱②』
『木箱(深緑スライム)』
『木箱(水)④』
ん?
嘘だろ?
『木箱②』は数種類入っていることになる。
はぁ~…やり直し確定か…。
今日はもういいや、明日…商売を終えてから仕分けをしよう。
隆二は、後回しを決めた。
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