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61 籠屋



 隆二は、栽培セットのミニトマトも購入していた。

 気温が低いので植えるのは躊躇していたが、春の陽気になってきたので種を蒔いてみる。種は、一度濡らしたペーパーで包んだものをさらにラップで包んでいた。こうすると、芽が出やすくなる。


隆二は、数日経ったので慎重にペーパーを開けてみると種から芽が出ていた。ペットボトルにつけるタイプのポットに入っているスポンジに植える。

 水耕栽培用のセットなので、水に溶かすタイプの肥料もついていた。500㏄のペットボトルに付属のスプーン1杯なので、かなり多めに入っているようだ。

 

 ギルマスたちが、プランターの芽に驚いていたが、専用の土だからそんなものだと思っている。聞かれても正直、説明しにくい。

 

 これで、ベビーリーフに蕪、ミニトマトが収穫できるようになれば、スローライフの第一歩だろう。粥の売り上げもいいので、そう遠くないところで実現できるような気がしていた。


 ギルマスの話を考えると、ここの土でも試してみたくなる。

 そのためには、容器などが必要か…何をするにも道具がないから揃えるところから開始なのが、なんとも不便だ。


 隆二は、屋台街へ出かけた。

 今日は、竹籠屋が来ているらしく鳥籠のような物や犬を入れるゲージのようなものまでさまざまなサイズと形の物が並んでいた。

 


 「へぇ…いろいろあるね。」

 「いらっしゃい。うちのは丈夫にできているから、入れたのが多少暴れても平気だぞ。」

 「それはいいね。少し手にとってもいいかい?」

 「ああ、まあ…いいだろう。」

 


 隆二は、いくつかの籠を見て、編み込み方などしっかりしていることを確認した。重要なところは、細い縄で十字に縛られていて念入りに作られている。これなら信用できそうだ。


 「これとこれ…それからこの大きな物も…ん~これはなんだ?」



 竹でできた深い長方形の籠を見つけた。ゲージではなく、本当の意味で籠だ。

 


 「これは、水は抜けて少し風も通すから、芋を保存するのにいいのさ。」

 「へぇ…」

 


 水を通すけど…土が抜ける感じもないよな…プランター替わりになるのでは?

 


 「これ、いくつかあるのか?」

 「ああ、5つが2つある。まとめて買うなら少し安くするよ。」

 「そうなのか?それなら、それも追加しよう。」

 「えっ?全部買うのか?」

 「ああ、ダメか?」

 「そんなことは言わねえよ。それなら籠のこれが小銀貨5枚で、こっちが銀貨1枚…」

 


 店主が言う通りに硬貨を置いていく。

 


 「そんで、こんなに買ってくれんなら、これは5つで銀貨1枚にしてやる。銀貨1枚とこっちも同じ銀貨1枚だ。」

 「ありがとう。これでいいな?」

 「ああ、こんなに買ってくれて嬉しい。ぜひまた来てほしい。俺は毎月2週目にこの辺りで店を出しているのさ。」

 「わかった。また必要になったら来させてもらう。俺は隆二だ。」

 「俺は、バンブーだ。よろしくな。」

 「ああ、またな。」



 隆二は、軽く愛想を振って購入した竹籠をまとめた。大きな籠の中へ入れこにしてしまえば、運びやすい。

 隆二は、周囲に注意をしながら人気のない路地に入りインベントリへと収納してしまう。

 これでいつでも手ぶらで買い物ができてしまう。



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