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54 三分粥


 夕方、食堂で粥を受け取っているとギルマスがやってきた。



 「リュウジさん」

 「あっギルマス、ちょうどよかったです。着いて来てください。」

 


 2階の自分の部屋へ案内した。


 

 「ギルマス、これがここの粥です。米で作ったもので、このくらいの物を出そうと思っています。どうぞ召し上がってください。」

 「ありがとう。」

 「味が足りなければ、こちら使ってください。」



 隆二は、よくある赤いキャップの食卓塩のキャップを外してテーブルへと置いた。ギルマスは、塩を見てぎょっとしていた。

 ギルマスが食べている間、ぼけっと突っ立っているわけにはいかないので、2人分の茶を入れる。

 


 「お茶もどうぞ」

 「ああ、ありがとう。」

 


 粥を食べ終わったギルマスが、お茶を飲んでホッとしたように顔を緩めた。



 「これはこの間とは違うお茶だな。」

 「ええ、こちらは緑茶と言います。昨日お出ししたのは紅茶です。」

 「そうなのか、茶にもいろいろあるのだな。」

 「ええ」

 「この粥なら十分に食べ応えもあり、みんな喜ぶだろう。」

 「それはよかった。それで何人分なら売れると思いますか?」

 「あればあるだけ売れるのでは?」

 「だといいですが…昨日は60個のパンが売り切れました。3倍以上の人が来てくれると思いますか?」

 「来るだろう。昨日は1人1個だったが、制限なしなら2杯とか3杯と買うかもしれない。」

 「え?」

 「昨日は、一人でも多くに売るために制限したが、粥を大量に売るなら1人2杯まででもいいかもしれん。集まった人数次第で売り切れるようなら1人1杯に制限すればいい。」

 「なるほど…」

 「できれば、ギルド職員も買いたい。大っぴらにできないから、あとで購入できる形にしてくれると助かる。」

 「わかりました。それなら、何杯分欲しいか開店の前に教えてもらえると助かります。」

 「ありがとう。そうしてくれるなら、粥はあのカウンターで売ってもらいたいし、作るのはギルドの厨房を使ってくれてかまわない。薪も用意しよう。大鍋なら1つあるから結構な量を作れるはずだ。」

 「それは助かります。」

 



 翌日、隆二はギルドへ昼前に到着するように行き、厨房を借りた。

 米は宿で浸漬しておいたので、すぐに火にかけられる。ギルドの鍋は40Lの鍋より一回り大きいので50Lくらいありそうだ。これほど大きいと料理はできても、持ち上げることすらできなさそうだ。

 鍋をよく洗う。錆もなく状態はいいようだ。それならこれでまとめて作ったものを鍋に取り分けてもいいだろう。

 隆二は米2㎏と水40Lを入れて火にかけた。

 全粥なら米の10倍の水で作るため、この水の配分であれば5分粥になる。食堂と同じ3分粥にするならこれでは濃いので、売るときに6L分の湯を加える予定だ。

 量があるので、沸き上がるまで時間がかかった。それから弱火でコトコトと煮ていく。十分に火が通り、膨らんだところでよく混ぜて20Lの鍋3つに取り分けた。鍋1つで180cc100人分になる。取り分けるために使ったのは、手のひらサイズの片手鍋だ。お玉で取り分けていては気が遠くなりそうだったので、ちょうどよかった。

 まだ時間があったので、もうひとつ浸漬しておいた米を出してもう一度粥を作る。先に作った粥は『箱』へ収納した。

 



読んでくださりありがとうございます。


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