46 大いなる目標
1000ダルか…あの粒が入っている程度のスープな物にその値がついていた。
あれと同じ?
そう考えると、もう少し価値がありそうだ…。
米は2㎏2000MPだから、あのスープには5MPが使われている。もちろん燃料や手間といったその他の要素が大きい。
パンは4つで200MPと考えると1個50MPかかっていて、お茶も1P10MPだ。併せて60MPとすると…そんな風に考えると、途方もない価格にしてしまいそうだ。他の道具も使わない、手間もかけないのに比較するのもおかしいと自分に言い聞かせた。
とりあえずの目標は、ここでの生活の基盤を整えること。
宿に泊まって1か月の料金が銀貨20枚だから、現状でもしばらくは泊まっていられる。
食べ物は、アイテムリストで交換できるから心配はいらない。
米を売っていれば生活はして行けるが、どうせこの世界で生きるならスローライフをしてみたい。
のんびり自給自足の生活をするためには、静かな場所の土地と家を手に入れたい。
そのために必要そうな金額はわからないが、街中の家が金貨100枚で売られていた。小さな土地に立っている建物でそのくらいなら、畑付きの家はその倍もあれば手に入れられるだろうと楽観的に考えた。
目標を考えると、安易に安くもできない。
経費は、3000ダルで購入した籠と、2630MPだ。
5700MPを日当と考えると…違うな、金貨200枚20,000万ダルを貯めるには、1日10万ダル儲けても5年6か月はかかる。
そう考えるとのんびりしていられないと気が付いた。
目標が定まれば、どのように努力すべきか見えてくる。
10万ダルの儲けにするには宿代なども考えて11万ダルは稼がないといけない。
ロールパン40個で11万ダルだと1組で2750ダル…粥を食べたほうがいいな。うん、これは高すぎる。
それなら、パンをあと5袋20個とティーバックを1箱追加すると60セットできる。それで1組1833ダルだから…2000ダルか1900ダル。銅貨を9枚数えるのは面倒なので、小銀貨2枚2000ダルの値付けが楽だろう。
女将やロティとの金銭のやり取りを思い出した。
計算するのではなく、商品ごとの清算にはかなり戸惑ったのだ。
だが、あのやり方がここの商売の方法なのだから、戸惑っている場合ではない。
1日パンと茶60セットを用意するために3350MPだから1日で使えるMPは限られる。それでも、単純に毎日繰り返せば5年6か月後、休みを取ったとしても6年頑張れば家を買えるだろう。
そうと決まれば考えずに実行するのみ!
隆二は、すっきりとした気分で明日以降の予定を決めた。