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30 新しい町②



 隆二は、広げた商品を手に取りながら説明を始めた。


 「こちらが紅茶でお茶を発酵させたものです。こちらは発酵させていない緑茶になります。」

 「ふむ」 

 「次にこちらの袋は、特殊な素材でできておりまして未開封のままなら湿気ることがありません。」

 「ほおお、それは素晴らしい袋だ。そんな袋があるのか?」

 


 袋に注目が集まり苦笑いをしてしまう。ただのビニール袋だが、説明が難しい。



 「中身は小麦粉です。薄力粉なので、パンには向きませんがお菓子作りやてんぷらに最適です。」

 


 兵士はまたもやざわついた。



 「これほど細かい粉にしていることから上質な小麦粉なのにパンには不向きとは…。この特別な袋とやらを使うからには特別な物なのだろう。菓子か…」

 「売れるといいのですが…」

 「間違いなく売れる。」

 「そうだといいですね。次にこちらですが、大麦をつぶしたものになります。」

 「えっ潰す?大麦を剥いて全てつぶしてあるのか?」

 「はい、左様にございます。」

 「なんのためにそんなことをする?」

 「潰すと火の通りが早くなります。」

 「なるほど、燃料が少なくてもよいのか」

 「そうですね。こちらの大麦も小麦粉と同じような袋に入れています。」

 「うむ」

 「つぎにこちらがお米です。雑穀の一種で国によっては小麦ではなくこちらの米を主体としている場所もあります。」

 「ほお」

 「こちらは、粥にするか炊いてごはんにして食べます。」

 「うむ…それは?」



 兵士は、タオルを指さした。

 隆二が使っているタオルだが、荷物を入れるにあたり背中に入れていたのだ。



 「こちらはタオルと言いまして、風呂上りに体を拭くのに使います。」

 「ふろ?」

 「はい」

 「そうか…ふむ…」


 「お湯沸きました!」

 


 兵士が一人戻ってきた。トレーには5つのカップが載せられていて、ティーポットまで用意してくれている。お湯は薬缶に入っていた。それらがテーブルへと置かれた。



 「ありがとうございます。今お淹れします。」



 せっかくなのでティーポットを使わせてもらう。

 ティーポットにティーバックを3つ入れてお湯を注いだ。カップで1杯ずつ入れるより少なくて済む。ケチって申し訳ないが、許してほしい。


 1分少々おいてから、ティーバックをお湯の中で揺らして皿へと上げた。

 隆二は、5つのカップに分け入れると、その一つを持って味見をした。

 程よく渋みもあり色もよく出ていて大丈夫そうだ。



 「どうぞ、お召し上がりください。」

 「いただこう」



 兵士たちが手を伸ばした。

 全員で飲んで毒でも入っていたら大変だよな?なんてことが頭をよぎったが彼らはそんな心配はしていないようだ。

 


 「うまい」

 「いい香りがする。」

 「これはいいな…満たされる感じがしてくる。」

 「うん…おいしい…」

 


 兵士たちがお茶を飲み干すと、隆二を見た。



 「リュウジ、スターティアへ来てくれて歓迎する。ぜひこれらを町の人たちへ売ってくれ。」

 「ありがとうございます。入町料1000ダルでしたね?」

 「ああ、小銀貨1枚だ。」

 「では、こちらで…」



 隆二は荷物を詰めなおすと、小部屋を出た。

 


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