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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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 秋を前に工業ギルドの建物が出来上がった。

 地上3階建ての建物だ。建物の外観は幅40m奥行20mほどあり、商業ギルドや農業ギルドよりはこぢんまりとしている。木造建築だが、強化木材を使い壁には漆喰が塗られている。

 受け付けカウンターの設置はしているが、多くの来客は見込んでいない。広い空間で立ったまま待つ形式ではなく、3人掛けのベンチを10台設置していた。



 1階には、ギルド受付、事務室と会議室(講義室)、面談室、応接間とホールがあった。

 2階には、ギルドマスターの部屋と研究室、書庫、倉庫があり、倉庫以外は隆二のスペースだった。

 3階には、登録簿管理室、資料室、倉庫が作られた。


 変わっている部分は、建物内にトイレがあるところだ。下水管を通して地下のタンクに落ちるようにしてある。

 汚水で育ったスライムは薄茶や茶色または赤茶となる。

 下水管には仕掛けを施し、汚水槽にスライムを入れることで、浄化された水が水路へと流れる仕組みを作った。

 だがそれは、外部には秘密だ。

 来客用には、ギルド前の用水路の向こう側へ専用のトイレを設置していた。



 工業ギルド完成披露パーティーの日

 農業・商業・職人の各ギルドからの来客を招いた。

 物資不足の町のため、服装などは問わない。


  

 隆二は、帰ってきたロティに料理を教えた。

 屋台広場の3人にも手伝ってもらう。ギルド職員たちには、給仕を手伝ってもらう。


 広間の半分には大きなテーブルが置かれている、仕切りとして衝立を置いており職人の手仕事が素晴らしい衝立だった。

 その向こう側には、これまで手掛けてきた機械や道具などが並べられていた。

 そして、石鹸などの小物は展示用のテーブルへ並べており、そのテーブルの隣には水樽が各種おかれていた。もちろん架台に乗っているので、その架台と樽に取り付けた技巧も展示の一部だった。


 

 「リュウジさん、こんなにいろいろと作っていたのか。」


 職人ギルドの人たちは、興味津々な様子で作品を見ていた。


  「ええ、皆さんのご協力あっての作品です。仕組みを考えても作れる方々がいなければそれまでです。」

 「いやぁ…リュウジさんが考える仕組みにはいつも驚かされている。こんな道具はわしには考えられん。」

 「考えるのは好きですからね。でも、この部分なんかは親方が工夫してくれたからですよ。」

 「まぁ、そういわれると悪い気はせんな。」

 「わはははは」


 

 隆二は、最終的に物を作り出す職人たちの能力にいつも驚いていた。

 その気持ちを素直に伝える。いつも伝えているつもりだが、人が多い場所で褒められたからかいつも以上に職人たちも上機嫌だ。



 「お食事の準備が整いました。席へお付きください。」



 リリアが声をかけてきたので、全員が席に着いた。

 木製のテーブルにクロスはない。

 各席に、スプーンとフォークのセットとその下にはキッチンペーパーを折った物、竹のカップには湯冷ましが入っている。

 給仕が小さなプラカップを乗せたトレーを持ってきた。


 中には赤い液体が入っている。ワインをぶどうジュースで薄めてある。長い間、酒を飲んでいない人には毒かもしれないからと気を使ったのだ。


 

 「こちらは特別にご用意したワインです。工業ギルドの立ち上げにご尽力いただき感謝しています。これからも協力しあえるいい関係を続けていけると信じて乾杯!」

 「乾杯!」


  

 隆二は、手に持ったワインを掲げて一気に飲み干した。

 うん、甘い。

 正直、プラカップでは雰囲気は出ない。だけど、竹カップでは色もよくわからないので妥協したのだけど、集まった人たちは軽くて透明な容器に興味津々だった。



 そのあとは、料理が運ばれてくる。


 最初に運ばれてきたのは、ミニトマトを使ったカプレーゼだ。

 ミニトマトは夏に収穫した物を『箱』で保管していたものだ。モッツァレラチーズはアイテムリストで交換した。

 ミニトマトの半切りの間に小さなチーズが一切れ挟まっているだけだ。

 そこにオリーブオイルと塩をかけて爪楊枝で刺してある。



 「これはミニトマトか。これは果物のようで甘かった。」

 「白いのはなんだ?」

 「白いのはチーズです。癖の少ないものですから、食べてみてください。」

 「ほぉ、初めて聞くものだな…」

 「どれどれ・・・うまい。」

 「ほぉ…これはいい…」



 次に運ばれてきたのは、レタスミックスのサラダが皿の中央に盛られている。フレンチドレッシングをほんの少しだけかけてある。

 

 

 「これはレタスかシャキシャキの歯ごたえが好きで…ん!?」

 「…うまい」

 「この味付けは…塩ではないな…」

 「ええ、まあ…ドレッシングという調味料です。」

 「ほぉ…」



読んでくださりありがとうございます。

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