表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

231/240

231

1000~2000文字までを基本に1話としてきましたが、ここからは3000文字までは前書きなしとします。


 

 ロティは、慣れた道を東に進んでいた。

 西にある森の方面であれば、森に行けば収穫物はある。森との間に前回、ロティの荷を全て売るように強要された町があり、足が向かなかった。

 東側に進むと、小さな集落があったはずの場所が2か所打ち捨てられていた。1年前には人がいたのに、どこに行ってしまったのか。

 

 

 2日後到着した村には、人の気配があった。

 ロティは、村長の村の前へロバ車を留めた。挨拶のために降りると、家からよろよろと人が出てきた。



 「おぉ…ロティさんではないか…」

 「村長さんお久しぶりです。食べ物を売らせてもらえますか?」

 「なんと、おぉ…おぉ…ロティさんが来てくれた…もちろんだとも、ありがとう。ありがとう。」

 「村長さん、商売のために湯を沸かしてもいいですか?」

 「湯だと?それならうちのかまどで沸かしてこよう。」

 「すいません。助かります。」


 

 ロティは、水の入った薬缶を村長へと渡す。

 湯が戻ってくる間に、木箱を5つ降ろして商売の準備を始める。

 蕪、小松菜、トマトときゅうりを並べた。

それと七輪を出し、その上には鍋を乗せた。コメ入りのスープには蕪の葉も入れていた。 リュウジさんから仕入れたスープバーで今朝仕込んだものだ。ロティは朝食替わりに味見もしていた。

 カスタードバーも15組120本取り出して、トレーに並べた。



 「ロティさん、湯が沸いたぞ。」

 「ありがとうございます。村長さん、お礼に枯れ死病からの回復に飲まれている物をお渡しします。」

 「なんだと!?枯れ死病からの回復薬など聞いたことがないぞ?」

 「食べ物です。枯れ死病の薬は持っていませんが、これで回復した人もたくさんいます。1本小銀貨4枚で…」

 「それ売っておくれ」

 「私が買うよ」

 「待ちなさい。」


 

 村長が集まってきた人たちを一括した。

 村人たち10数人が一歩下がった。



 「ロティさんを信じていないわけではないが、そのような大きな話をするものではない。」

 「信じられないのも無理はないですが、本当のことです。枯れ死病に飲ませるデカビタミンは持っていません。ですが、飲んで目覚めた後に飲ませるカスタードバーは持っています。」

 「本当にそのようなものが?」

 「はい、こちらお湯のお礼にどうぞ。」

 「それであれば、動ける者…手を貸してくれ…」

 

  

 数人の男が村長の家へ入った。

 しばらくすると、小さな少女を連れてきた。やせ細り骨と皮なのは枯れ死病に見えた。



 「孫娘のアイラだ。そのカスタードなるものを飲ませてみよう。これはどうすればよい?」

 「カップとスプーンを1つお持ちください。」

 


 村長が家からカップとスプーンを持ってきた。

 村長の足元もおぼつかないので、見ていて心配になる。



 「カップにカスタードバーを折って入れます。そこにお湯を入れてよく混ぜます。今回は量を飲めないと思うので、お湯は少な目にします。」

 

 

 ロティは溶かすためにぐるぐるとかき混ぜた。

 溶け切ったが、熱いのでそのまま混ぜた。少しもったりとしているのはお湯が少な目だからだろう。


 

 「アイラさん、これを飲んでください。」

 「アイラ、目を開けなさい。口も開けられるか?」



 村長の掛け声は、切羽詰まるものがあった。抱えて地面に座っている村人も不安そうだ。

 ロティはアイラの口へスプーンでつついた。薄く開いたところに「入れるよ」と声をかけ流し込んだ。


 

 スプーン半分の液体を口に含んだアイラは目を見開き、ロティを見てから視線を漂わせて村長を見た。ふわりと笑う。



 「アイラ、飲めるか?」

 


 村長の声にアイラがうなずいたので、ロティはカップ1杯分時間をかけて飲ませる。

 村人が見守る中、飲み終えたアイラは頬に赤みが差しそのまま眠った。

 


 「おお、顔色がよくなったぞ。」

 「これは助かるのではないか?」



 村人たちから声が上がると、村長は「売ってよい」と言いアイラを連れて家へ戻った。



 「今のは、何というものだ?」

 「こちらはカスタードバーというものです。薬ではなく食べ物です。必ず効くとのお約束はできません。ですが、アイラさんをご覧いただきましたね。こちらは、1本で小銀貨4枚、8本なら銀貨3枚です。数がないので、枯れ死病のご家族がいる方にのみ販売します。できれば1日2回ほどは飲ませてください。」

 


 人々が殺到し、カスタードバーはあっという間に売り切れた。

 それが落ち着いてから、ロティは他の物を売り始めた。


 

 「ご覧の通り4種類の野菜をお持ちしました。こちらはミニトマトときゅうりです。そのまま食べられます。こちらは蕪と小松菜です。蕪はそのままでも煮てもおいしく、小松菜と蕪の葉は火を通してたべてください。野菜はどれも小銀貨1枚です。」

 「それから、コメという穀物入りのスープも用意しました。スープは3番お玉1杯で小銀貨2枚です。買い物をする方は、私の前に1人ずつ並んでください。」



 ロティはそう品物の紹介をすると、売り子の位置についた。

 人々は、家に戻り籠や深皿などを持ってくる。

 3番お玉は、135cc入る。スターティアと比べると値段は2倍で量は1.5倍。結果的に量が少ないのは遠くに売りに来ているのだから許してほしい。



 最初の数人は、コインで買っていった。



 「あの…これで売ってもらえないかい?」


読んでくださりありがとうございます。

モチベーション維持になりますので、評価をいただけると嬉しいです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ