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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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 「リュウジさん、やりすぎ…」

 「そんなことはない。ロティさんには、ここに帰ってきて欲しいからな。」

 「リュウジさん…」

 「それにな…中に入って竹のここをこうすると、荷車の高さを変えられる。」

 「はぁ…確かに半分になったね…?」

 「荷車の高さは木箱2段分しかないだろ?」

 「うん…?」

 「つまりだ…床面は木箱6個分で2段重ねて12個だ。足回り入れておおよそ20個分のスペースになる。入るかどうか試してみないか?」

 「!?」

 「やってみる。」

 「一応、全量入っている状態で試してくれ。」

 


 隆二は木箱10個と折りたたんだ木箱5段で1箱スペースを2箱分で20個にして乗せた。ロティはそれを収納してみると、入ったのだ。



 「ええ!?」

 「入ったな…」

 「これって…」

 「ロバは無理だと思うが…木箱20個を取り出しても荷車をたたんでいれば収納できるなら、安全の選択肢は増えたな。」

 「う…ん…」

 「あとな…」

 「まだあるの?」

 「もちろん。荷台を出してくれ。高さを元に戻して…中へ入ってこい。」

 「うん、それで…?」

 「ここね。車輪と車輪の間のここ左右ともにだけど、板を外せるようになっている。」

 「へぇ…」

 「こっちが脱出用。そして、こっちは金庫だ。ロティの収納に入れられるのはわかっているけど、こういう場所があると安心できるだろう?」

 「うん、そうだね…」

 「あと、ここ…御者席の下にも一応収納がある。」

 「なるほど…」

 「折りたたみできる木箱は20個全部だ。」

 「ありがとう…大荷物が減った時にも便利だね。」

 「そうだろう?いろいろと考えたけど、一番大事なのはロティさんが安全に帰ってくることだからね。」

 「うん、わかった。」

 「万が一、夜盗に囲まれて身動きが出来なくなったら、これに火をつけて外へ放っておくこと。その時には、ロティは上のベッドに逃げること。約束できるよね?」

 「えっと…どうやって火をつければ…そう簡単にはつけられない。」

 「これを渡す。これはライターといって、ロックを外してここを押すと火が出る。」

 「うわっ」

 「人に見られないように気を付けて。」

 「うん、もちろん…」

 「あの、これってどういうものなの?」

 


 丸い物に紙を巻いてあり、見た目は丸い爆弾だ。それを4つクッキーの缶に入れてある。

 


 「これは、煙を吸ったら眠ってしまう。その間に逃げるんだ。」

 「わかった。」

 「ロティは吸わないように気を付けて、出来たらロバは早めに遠くに行かせるように。」

 「うん、わかった。」

 

 

 ロティが頷くのを見て、隆二は少しだけ安心した。

 考えられる限りの安全策を施したけれど、絶対の安全などないのだ。


 

「それと、これ預かっていた服だよ。こっちは防刃加工している。でも服のない場所は守れないからね。」

 「うん、わかった。」

 「できれば、頭にはこれを巻いてほしい。」

 「これも防刃?」

 「そうだよ。布だから、万が一の時にはこうやって巻き付ければ目元以外は守れるだろ?」

 「リュウジさんは過保護だね。」

 「これはレインコートだ。雨をはじくから念のために持っていてくれ。雨の日には無理はしないでほしいよ。」

 「わかった。ありがとう。」

 「あとの準備もしっかりしろよ。」

 「もちろんだよ。」



 隆二は、ロティが心配だった。前回の町は荷を狙っただけだからいいけれど、もし全てを狙っていたらと思うとぞっとする。

 体格もしっかりしてきているから力もある。早く走ることができるようになってはいる。それでも、不意を突かれたら終わりだ。用心に越したことはないのだ。


 

 荷台を渡した4日後、ロティは2箱分のコメと同量の押し麦、トマトときゅうり、小松菜と蕪、スラ塩と水樽と藁の箱を手に入れた。

さらに1箱にぎっしりと詰められたカスタードバーだ。カスタードバーは20組ずつジッパータイプの袋に詰められており、それを木箱いっぱいに入れてあるのだから、相当な数があった。

 荷台にぎっちりと詰め込み、乗り切れない物はロティの収納へと入れた。


 そして今回も隆二は、簡単に食べられる個包装のクッキーバーと飴の大袋を渡した。


 ロティは前回の飴は半分残っていると言ったが聞いてもらえない。それどころか、栄養を強化できるという白い粉を1壺渡されてしまった。


 そうしてロティは2週間の予定で行商へ向かった。





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