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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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 研修生が増えたので、週に2日ずつにグループ分けをしてもらった。

 基本的に最初に参加した研修生がリーダーとなり新人4人の組み合わせだ。

 朝の畑での水やりを2組に分かれてしてもらい、それから収穫作業に入る。

 今の主な物は小松菜、蕪、ミニトマトにきゅうりだ。小松菜と蕪は加熱して食べることができるが、ミニトマトときゅうりは生で食べられるが日持ちもしない。

 収穫した日に屋台広場で販売した。売るのはロティの仕事だ。



 「リュウジさん、ロバの体調もよさそうだしそろそろ行商に行こうと思う。」

 「ん?そうなのか?それなら仔ロバの礼に荷車を用意するから少し待ってもらえないか?」

 「荷車?」

 「うん、結構車輪が歪んでいるし壊れそうだからね。1週間だけ待ってほしい。」

 「わかった。1週間は準備に必要だし…その…売り物に野菜が欲しいけど…」

 「もちろん融通するよ。収納分と荷車に乗せる分でいいね?」

 「うん、助かる。お代はしっかり請求してよ。」

 「もちろんだ。そこは商売だからな。」

 「あと…こめと麦もいいかな?」

 「もちろん。どのくらい必要か後で教えてくれ。」



 数日後、隆二はロティの新しい荷車を用意した。荷台とタイヤの軸の間に竹をスライムで強化した竹バネを四隅に置くことで振動を減らした。あまり目立たないように小さ目に作り、荷台にカバーになる板を付けてこの部分は見えにくくしてある。幌は、この世界の物にし、それをスライム液で防水・防刃加工とした。

この世界の道は舗装されておらず、車輪は路面の凹凸を直接反映させてしまう。

 荷台に野菜を乗せて運ぶと振動で痛んでしまう。

 ミニトマトときゅうりは、ロティの空間収納に入れれば4日は持つ。



 「4日あればけっこう遠くまで運べるよな。」

 「だとしても、僕は行商人だからね。領内で食料のないところは沢山あるから、そこが優先だよ。遠くまで行けてもいつも行けるわけではないよ。」

 「そりゃあそうか。常連さんは大事にしたいよな。」

 「常連?」

 「いつものお客さんって意味だよ。」

 「なるほど、そうなんだよ。わかってくれてよかった。」


 「そうだ!ロティさんの荷車が出来上がったぞ、これでどうよ?」

 


 竹でできた骨格とボロい布のかかった荷車にロティが笑った。


 

 「リュウジさんだから目立つ物を作ると思ったけど」

 「そんな事をしたら危ないだろう?見た目はこのくらいがいい。中も見てよ。」

 「うん、あっ中が暗い。ランタンつけるね。」

 「ああ、ランタンを置いて外に出てみて光が漏れないようにしてある。」

 「えっすごい…」

 「それと…上見て」

 「あれ?布が釣り下がっているね。」

 「それはベッド代わりだよ。木箱はあるだろうからそこから登ればいいだろ?」

 「うん」



 ロティは、箱を積み上げて足場にして布…布製のハンモックに乗った。



 「あっ…寝心地いいかも。」

 「そうだろう?何かあったらそこから攻撃するといい。」

 「うわぁ、それは嫌だな。」

 「まあ、そうならないように考えてはあるよ。」

 「そうなの?」

 「当たり前だろう。まず荷口は片止めにしてある。片方を内側から閉じられる。」

 「外から閉めるには、紐を結ぶ。内側から閉めるときにはボタンだから、時間はかかるが外からは簡単に開けられない。」

 「そんなの刃物で切り付けたら簡単に…」

 「それなら外に出てみよう。」

 


 外に出て、ロティにナイフを渡した。厨房小屋で使っている果物ナイフだ。

 切れ味はロティがよくわかっている。それに鍔を付けた。鍔と言っても丸い鉄に柄の形でくりぬかれたシンプルなものだ。ドニーに依頼したのだ。包丁で手が滑って自分の指を落としては困るのだ。



 「ほら、切り付けてごらん。」

 「ええっ!?」

 「見た目はぼろいが、防刃・防水で刃物には勝てるし、水も通さない。空気穴はあるが、見えない場所でそこから剣を通すことなどまずできない。滅多なことにはならんようにしてある。」

 「空気穴?」

 「息苦しくならないってことだ。」

 「よくわからないけど、工夫してくれたのはわかった。」

 「ライトは、移動中は御者席に置いておけばいいだろうし、それとは別にもう一度ベッドに横になってみて」

 「うん…あっここにボタンがある。」

 「開けてみて」

 「あっガラス?空が見えるね。」

 「ああ、そこに置いたら光を集めるようにしてある。平なタイプを2つ入れて置けるから、2日くらいその中にいても光に困らないと思うよ。」

 「それはすごい。」

 「ベッドで寝ていて敵が侵入してきたときには、おそらく入口が開いてわずかでも明かりがあるはずだ。天井に槍がおいてあるからそれで突き刺せばいい。」

 「ん?あっこれか…」

 「もし、荷台の周囲を囲まれた時だけどランタンを消してこの横のところを開けられるようにしてある」

 「うん」

 「床にでっぱりが左右3か所ずつあると思う。それを外側へ押し出すと、武器になって相手に刺さるから不意打ちであれば相手を攻撃できる。普段は動かないようにしてあるし、竹だから見た目は危険ではないはずだ…」

 「それって、あの柵と同じ竹ってこと?」

 「そうだな。まあ、この荷車の竹は全てそうだが…」

 「うわぁ、それっていくらかかっているんだよ。」

 「かかっていないよ。俺が加工したんだから。」



読んでくださりありがとうございます。

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