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翌朝、あかぎれや荒れていた肌は白くなっていた。周囲には剥がれた瘡蓋が落ちている。深く傷ついていたらしいところには瘡蓋が残っていた。
アカサはあまりの効果に驚いてしまう。
こんなにきれいにあっという間に治すなんてとんでもなく高価な薬なのでは?試したはいいけれど、買うとなるとかなりお高そうだ。
もらったものを大切に使わせてもらおう。
昨日いた人には配ったけれどまだ半分は残っている。
「店長、ありがとうございます。これ見てください!」
出勤すると、昨日薬を渡した従業員が手を出してきた。手も足もひどかったので、しばらくお休みをと伝えていた人だ。
「かなり良くなりましたね。これなら2日もあれば復帰できますね。」
「もう働けますよ…」
「いえ、無理はいけません。皮が張らないとすぐに戻ってしまいます。明後日までは休んでください。」
「でも…」
「では…午後から、押し棒を使って洗ってください。」
「ありがとうございます。」
押し棒の仕事は、その分安い。
それでも、働かないと困るのはアカサもよく理解できた。
よく来てくれている人たちに一通り配り、治るまでの間は汚れの軽い物のみに制限させてもらった。どうしてもと黒ずんだ服を持ってきた時には、洗うのに時間がかかると説明して同意してくれた場合にだけ預かる。
希釈水を減らして濃くした液につけるなら押し棒でもある程度は汚れを落とすことができた。
そうやって全員の手足が回復したころ、長靴という物をリュウジさんが持ってきてくれた。それを2つ購入し、保護剤も1セット購入した。
それらを購入して翌月の支払い分と洗濯洗剤を2樽注文すると残りはなくなってしまった。毎日報酬は支払っていて、自分には小銀貨4枚をもらっていた。
自分と子供たちの食事代だ。店じまいの後に商業ギルドへお金を預けてから子供たちと水浴びをして雑炊を食べて帰るのが日課となっていた。
毎日のように利用してくれる客は、農業ギルドの人たちが多かった。彼らは、他の人たちより少し早めに来る。
土汚れが多かったけれど、手入れをしているからそれほど汚れはひどくないのだ。水浴びの間に洗うため、急ぐ必要はあったけれど、乾く暇もなく持ち帰ってくれるので物干し場の都合上とても助かっていた。
彼らだけで上下合わせて50枚以上になる。
その他にも、屋台広場で店を出している人たちが石鹸で洗いたいと出してくれていた。預けてくる服の中には、リュウジさんと同じ色付きの服もあった。
ここで洗うと脱水機で水切りをしているため、部屋で干していても翌朝には着られると好評だった。
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