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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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 「こんなにいいのですか?」

 「もちろんです。開店おめでとうございます。」

 「あの…もしかして、余裕が出てきたら洗濯石鹸を樽で売ってもらうこともできますか?」

 「それはもちろんできます。」

 「ちなみに…いただいた物を前にお聞きするのもなんですが…おいくらで売ってもらえますか?」

 「これ1つに1㎏入っているので、50回分になります。」

 「そんなに…」

 「銀貨4枚でお売りしましょう。販売は月に1度、お支払いの時までに商業ギルドへ申し出てください。」

 「わかりました。それでお願いします。」



 アカサは洗濯洗剤を大量に手に入れた。毎日2杯から4杯を購入してきたので、樽で買えばかなり安く済むだろう。


 正式に洗濯屋を開くと、今までよりも客が増えた。

 駄賃稼ぎの人たちと比べて店舗があれば信用度が異なった。

 セイに仮縫いでの飾りのつけ方を教わった。

 

 セイは、今までとは異なりカウンターの半分を使い補修屋を開いてもらった。




 アカサは、受付に座り客とのやり取りをする。

 洗濯は日雇いで来てもらっている人にやってもらう。

 午前中に1人、午後からは2人、夕方からも2人に頼んでいた。


 同じ人が続けて働くことも多く、実際に来るのは3人か4人だった。

 持ち込まれる洗濯物も汚れは少なくなっていた。もちろん今まで通りにこびりついた物が持ち込まれることも半分はある。

 それでも、一度洗濯洗剤でしっかりと洗っただろう洗濯物については、洗濯洗剤液に浸け込む時間を長くし、洗い方もしっかりとした踏み洗いではなく押し棒でかき混ぜて洗う。

 それでも濯ぎ時間を長くとるときれいになるので、時間の短縮になっていた。

 洗濯桶も、1つは仮置き場があるものになっていて、数枚洗う時には、そこに乗せて押し棒で押すと絞ることができた。せっけん液は、洗い桶に戻る。簡易洗いと呼ぶことにした。簡易洗いであれば1回のせっけん液で20枚ほど洗うことができた。

 

 寒くなるにつれて、手足が荒れてくる。



 「こんにちは、繁盛しているようですね。」

 「リュウジさん、来てくれたのですね。」

 「道具の使い勝手はどうですか?」

 「道具はとてもいいです。得にあの仮置き場のある洗濯桶は少しずつでも洗えるので助かります。」

 「それはよかった。」

 「でも、最近は水も冷たくて…あかぎれで休む人が出てきていますね。」

 「あかぎれですか…手では洗っていないですよね?押し棒も使っていますか?」

 「もちろんです。押し棒のおかげであかぎれがあってもできますが、それは2人体制の時ならって条件付きになりますからね。」

 「それなら…長靴を使いませんか?」

 「長靴?それはどういうものですか?」

 「ここが長くて水の入りにくい靴です。直接足に洗剤がつかないから荒れることもなくなるかと…」

 「いいですね。でもどこで売っていますか?」

 「作りましょう。少し時間をください。」

 「はぁ…」

 「それと、とにかくあかぎれがあるのはつらいでしょうから…これをどうぞ。」

 

 

 リュウジさんは、竹で作った蓋つきの入れ物と壺を取り出した。


 

 「これはサンプルですから、お試しにどうぞ。いいと思ったら購入してください。」

 「これは?」

 「あかぎれを保護するものです。使うのは、もう水仕事をしないこのまま眠れるというタイミングがいいです。」

 「はぁ…」

 「使い方ですが、こちらの竹の中身をこの棒で取ります。少しを伸ばします。この棒は使う前には洗ってください。」

 「はい」

 「あかぎれのある手や足を水で洗ってから、これを塗り込んで、次にこちらの壺の中身を塗ります。こちらのものはとてもぬるぬるするので、足に塗ったらしばらくは歩けません。1時間しみこむまではベッドから足先を出すとか、うつ伏せに寝て足を上げるとかして乾くまで待っていてください。」

 「それは不便ですね…」

 


 その日出勤してくれた人達にカップに1回分ずつ入れて持ち帰らせた。

 アカサも持ち帰り、試してみた。

 うっすら赤いクリームを延ばし、透明なとろみのある液体を荒れている足へと塗り込んだ。手はそれほどでもなかったけれど、足はかなり荒れていたのだ。

 塗っていても染みたりはしない。すぐに痛みが引くのが分かった。

 足に塗り終えた後、手についた薬を塗り広げる。

 リュウジさんは保護剤と言っていたから、守ってくれているのだろう。それだけでもかなり楽になった。




読んでくださりありがとうございます。

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