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22 お金の価値②



 「それじゃあ、ロティさんは12才になった途端にロバとこの荷台を渡されて家を出されたのか?」

 「うん。成人の祝いにロバまでつけてくれた親には感謝です。」

 


 ロティの身の上話を聞いていたが、驚いたことにたった12才で家を追い出されたというのに親へ感謝していた。成人したら身一つで追い出されても仕方がないようだ。12才で成人扱いなんて早すぎる。小学5年生か6年生かでまだまだ保護すべき年齢だ。

 それなのに、ロティは本当にロバと荷車を持たせてくれた親には感謝しているということらしい。

 いい子なのだろう。



 「最初は…友達の農家に頭を下げて野菜を預かり、他で売ってから支払いをし、そうやって資金を増やしてやっと行商らしくなってきたと思ったのに…どこも不作で、食べ物がなくて…買い入れも売るのもできずに…倒れてしまいました。」

 「そうなのか…確かに、近くの集落もひどかったな…」

 「あの…このりんご…本当に食べてもいいのですか?」

 「ああ、どうぞ食べるといいことがあるぞ…多分…」



 ロティは誠実に噛り付いた。

 シャクシャクといい音をさせて食べている様子からは、行き倒れていた気配はない。芯の部分もギリギリまで食べてから、残った芯をロバに食べさせていた。



 「ここ2日は水も飲めなかったし、食べ物も多分1週間ぶりです。久しぶりに食べたからか体中に力が漲る気がすします。」

 


 久しぶりの食事よりは、誠実の完全回復の効果だろうと思えるが、そうは言えないので隆二は黙って聞いていた。

 


 「ロバも元気になっていますが、何か食べさせてくれたのですか?」

 「草を持っていたからね。あとは水だね。俺は入れ物というものをあまり持っていなかったから、バナの葉で器を作って水を入れてきたのさ。」

 「バナの葉で器ですか?それはずいぶんと高級な器を…え?まさか、バナの葉を食べてしまったんですか?」

 「そうだね。」

 「それは、申し訳ありません。高級な葉なのに…すいません。」

 「気にしなくていいよ。沢山持っているから大丈夫だ。」


 「あの…これ、僕の全財産です。もらってください。」

 「ん?いや、そんな全財産なんてもらえないよ。そういうつもりで助けたわけじゃないからね。」

 「でも、僕の命とロバの命を助けてくれた恩人です。全財産といっても、お金だけです。」

 「いや、それならさ…そうだ。半分もらっていいか?できれば色んな硬貨が欲しい。」

 「それはもちろんです。本当に半分でいいのですか?」

 「ああ」



 ロティは金袋から全部取り出し、同じ硬貨を並べていく。中心から左右に同じ数になるようにおいていた。

 端数の硬貨を見て悩んでいるので、今並べた片側を受け取る。



 「俺はこれだけあればいい。」

 「それでは半分になりません。」

 「これでいい。」

 「でも…」

 「ロティさん、俺にこの硬貨の呼び方、価値を教えてくれるか?」

 「はい、もちろん…です。」


 「こちらの一番小さいのが銅貨です。100ダルになります。」

 「次にこちらの小銀貨が1000ダルです。今だと…芋が2つくらい買えます。」

 「こちらが銀貨で1万ダルです。お肉を掌2枚買えると思います。」

 「こちらの大銀貨が10万ダルで、ここにはありませんが金貨が100万ダルになります。金貨は大銀貨と銀貨の間くらいの大きさです。」

 「なるほどよくわかった。」



 つまり10ダルで1円くらいの感覚だろうか?

 隆二は手の中のコインを見た。銅貨が12枚、小銀貨が4枚、銀貨が1枚だ。1520円くらいなら、もらっても許されるだろう。

 全部受け取らなくてよかったと隆二は安心していた。


 本当の価値としては1ダル=1円なので、15200円相当だがあまりの食糧難のため価格が高騰していて、この事例では結びつかない隆二だった。





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