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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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 「これはいいねぇ、底板で押し出すなんて考えつかないよ。」

 「液漏れしないのかと思ったけど、案外しないものだね。」

 「時々漏れているのもあるけど、大した量じゃないからこれなら問題ないよね。」

 「面白いくらい簡単に外れるよ。」

 「喜んでもらえてよかった。これで作業もはかどりますね。」

 「もちろんさ、任せておくれ。」



 肥料を作る作業を任せて、隆二は2階へと上がった。

 今回、2階の担当は固定の2人だ。



 「お仕事はどうですか?」

 「リュウジさん、こちらは順調だよ。ただ…この大きな紙は、3回が限界かも…今日で3回目だけど、これ…」

 「うん、そうですね。それは仕方ないね。」

 「それとね、紙に接している部分だけど…黒くなってしまう…」

 「どれ…ああ、インクが写っているね。」

 「インク?」

 「ええ、でも…問題ないよ。黒っぽいほうがいいでしょうし、これでいいですよ。」

 「よかった。」

 「腐ったのかと思って…」

 「ははっ…腐ることはめったにないと思うよ。」

 

 

 「そうだ、ここの作業は余裕があるね?」

 「うん、少し暇だね。何かやれることがあるの?」

 「ええ、乾かした搾りかすを粉にしてほしい。」

 「それならまかせて。」

 「今回は、前回のクラゲと違って、粗くていい。使うすり鉢はこれだ。」

 「へぇ」

 「これに入れて、この棒でたたいて細かくなったら、こうやってすり潰す。」

 「なるほど」

 「動くから、下に濡れ布巾を敷くといい。」

 「わかりました。」

 


 隆二は、アイテムリストの布巾3枚セットを取り出して渡した。

 青、赤、黄色の格子模様は、おばあちゃんの家で使われていたものと同じで懐かしい。


 「それと、乾かした搾りかすの中にこの種で無事なのがあったらこの籠に入れて欲しい。」

 「種?」

 「ああ、大きいからわかると思う。欠けたり潰れたりしたものは育たないから粉に挽いてしまってくれ。」

 


 オイルの実の搾りかすには、リンとカリウム、窒素が入っていたが、それよりもタンパク質の含有量が多かった。タンパク質はアミノ酸だ。作物に与えれば味の向上が期待できた。



 回収した種は全体を1晩水に浸けた後、水を半分程度まで減らし芽吹く準備段階にした。それをインベントリへ入れ、数週間後森を超えた南側の土地へ20m間隔で植えていった。植え付ける1m先には肥料バーもスプーン1杯混ぜ込んだ。



 隆二は森の中で数十本の木からオイルの実を集めていた。

 根っこごと取り出して木を丸ごと叩き落すという荒っぽい手法による収穫方法だ。根っこごと土の中に戻してはあるが、根も傷んでいた。

 普通なら、しばらくは実をつけないし木が枯れる可能性もあった。

 特に今回は、未収穫だった高い位置にある実も一通り収穫してしまったし、収穫しすぎて木は枯れるかもしれないと不安になる。

 そうなったとしても、植え付けた種が育てば数年後には実がつき始めるはずだ。それでも石鹸や肥料の需要が高まれば、供給不足になる。

 石鹸は獣脂でも作れるけれど、肥料になるものはわからない。数年以内に、他の手段も得る必要がありそうだ。



 隆二はそのように考えていたが、実のところオイルの木にとってはいいことづくめだった。

 抜き取ることで古く弱い根が強制的に切り外された。実をつけると自然落下しにくい性質のため長いと5年は実をつけており、その実にも栄養を取られてしまう。それが上から下までの殆どの実が強制的に外されたのだ。残っているのは青い実だけだった。

 そして、ほぼ同じ場所へと戻されたが、一度抜けたことで周囲の土は崩れ空気が入っていた。戻されたといっても同じではなかった。

 オイルの木にとっては、余計なものがなくなり身軽になっていた。木としても十分に栄養が行き渡り数年後にはまた大量の実をつけることになる。



 


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