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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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昨日、3週間ぶりにランキングに入りました。

ありがとうございます。

読み終えた後、☆をクリックしてくださると励みになります。



 工場では、オイルの実から油を搾るようになって2週間が経っていた。油から作った石鹸や洗濯石鹸も2階の2部屋を埋める程になってしまっている。液体石鹸は別の場所へ移し、空いたスペースへ固形石鹸の新しく作ったものを入れてもらう。

 大き目の石鹸の一部は木箱に入れて、商業ギルドへ卸した。一部の貴族に石鹸を売り込むらしい。隆二のインベントリにも部屋の半分ほどを収納した。

 小さな石鹸と形の悪い石鹸にわけられている。

 毎日の洗濯に行くついでに、週に1度ずつ液体石鹸、小さな石鹸や形の悪い石鹸も一緒に運んでもらっていた。

 小さな石鹸は水浴び場の客用で、形の悪い石鹸は従業員用だ。


 

 庭には、実を絞ったときに出る汁が壺に入れられて並べられていた。

 最初の汁からは泡が立ち始めているので発酵しているようだ。その壺もそろそろ庭を埋め尽くしてしまいそうだ。



 「それでは、そろそろ違う作業を始めます。2階の担当は、そのまま乾燥具合の確認と手入れをお願いします。」

 「はい。」

 「他の方は、庭へ出てください。こちらで壺の汁を温めて、これを固めていきます。食べられないものですから、絶対に食べないように。」

 「食べたらどうなりますか?」

 「ひどい腹痛になり、最悪の場合死にます。」

 「ひぇっ」

 「レンガで竈を作りましたから、ここで作業をします。鍋はこれを使います。ここに壺の中身を鍋のこの線まで入れて沸かします。沸いたら緑色のものをこのお玉で5杯分入れます。配合はこの絵図に従ってください。入れたら、よくかき混ぜてもう一度沸騰したら火から下してください。この板に流し込んで乾かします。」

 「絵図に石を置いてもいいですか?」

 「かまいませんよ。」

 「ありがとう」

 「これを置いておくと固まってきます。翌日になったらこの竹でできた型を上から押しつけて切り分けます。できそうですか?」

 「任せておくれ。だけど、この作業は3人もいればよさそうだよ。あとの3人はどうしたらいい?」

 「はい、もちろんお仕事はあります。こちらにある干した実を薬研で挽いてください。今回は、このくらいの細かさでいいです。こちらに見本を置きますね。砕いたら木箱へ入れます。木箱には袋を入れてありますから、袋に入れるようにお願います。」

 「実の中に種があると思います。種として大丈夫そうだったら、こちらに入れてください。」



 隆二は、ペットボトルに入れた見本を置いた。文字や数字が読めない、書けないので絵図や現物サンプルなど見てわかるものでないと指示が通らないのだ。

 スライム塩を作るときに、細かさが伝わらずに苦労したのだ。


 工場の仕事内容は、今3種類目だ。最初とは異なる仕事だけど、この人達は文句も言わずに続けてくれていた。


 今回の製品は、畑の肥料だ。

 スマホの検索ができれば、肥料の種類やその成分がわかる。

割合まであるだろうからそれに近づけた配合ができるのだけど、検索する手段がない。

できることはアイテムリストで園芸書を手に入れること。記事に書いてあることを参考にすること、それと広告で出ている肥料の成分を参考にすることくらいだ。

 どの肥料にもリンとカリウム、窒素が配合されていた。その割合は様々だけれど、どれも数パーセントの差だ。土地の質も違う以上、数パーセントの差が大きく影響するとも思えない。今のこの土地なら、とにかくそういった成分が含まれている物を与えてみるしかない。


 オイルの実の果汁にはリンとカリウム、窒素が豊富だった。

 液肥に近い割合だったので、それを緑スライムで固めることで日持ちさせることができる。煮込まなくてもお湯と混ぜれば溶けるバーにすることにした。食品ではないので、最大で2年は持つようだ。


 液肥として使うには、1本10gに対して50倍である500ccの湯で溶かす。倍率が少な目なため場所はとるが、日持ちさせることが目的なので構わなかった。



 「リュウジさん、これはどんな味だい?」

 「これは肥料で、食べ物ではないよ。」

 「そうなの?でもこの形だと売っているスープバーに似ていて食べてしまいそう…」

 「そうか、そうだな…形は変えたほうがいいか…」


 

 隆二は、出来上がった肥料バーのサンプルを見せたところ、工員から声が上がった。

 いわれてみると確かにその通りで、そうすると、明らかに違うとわかるほうがいい。出来上がった物は5㎜角の棒状にしてもらった。

 真っ赤な棒が木箱いっぱいになる。



読んでくださりありがとうございます。

評価をいただけると嬉しいです。


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