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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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208/239

208



 妻は、工場は暑いからと普段は近寄らない。それでも食料があるとなれば取りに来る。しかし、入ってすぐに腰を抜かしてしまった。



 「あのあなた…こんなにどうして…」

 「これは前金替わりの食糧だ。米は4kg、麦は2㎏ある。塩とカスタードバー、それに角兎1羽とかごいっぱいの野菜だ。この赤い実を食べてみろ。工場の者は食べたから、お前たちで食べていい。赤い実は少しの塩をつけるとうまい。」

 「あなた…塩ってこれですか?こんなに真っ白でサラサラの塩は見たことがありませんよ。」

 「そうはいっても、リュウジさんはそれを塩だと言っていたし、トマトに付けたらうまかったぞ。」

 

 妻は、ちょっと摘まんで舐めた。

 

 「確かに塩ですね。いつもの塩よりなんというか…塩辛いですが不思議なおいしさもありますね。」

 「そうなのか?よくわからんが、使ってくれ。これでしばらくは食べられるだろうか?」

 「これだけあれば、私たちと子供たち、弟子の3人、合わせて7人がいても2か月は食べられますよ。」

 「そんなにか??」

 「いつもの量でよければです。」

 「もう少し食べたいな…それに一月後には納品しなくてはならん。納品できれば、この米を18㎏と麦を10㎏もらう約束になっている。」

 「なんですって!?それなら、いつもの倍は食べてください。力が出ないと作れませんもの。良いものを作ってお渡ししてくださいな。」

 


 妻は現金なものだった。次の入手ができそうだとわかると、倍は食べていいという。

 さすがは俺の妻だ。妻は数少ない計算ができる人だ。倍というのは同じ量を2回繰り返すことだという。


 兎は血抜きを半日行い、肉は4つに切り分けバナの葉で包んだ。

 初日に内蔵を食べる。煮込みで出されたが鮮度がいいので臭みは少なく、うまかった。

 内臓肉と言っても数年ぶりだったので、弟子たちは大喜びだった。孫たちは初めて口にするので心配だったが、パクついていた。

 


 「たまらんっす。」

 「おいしい!」

 「こんなに具が入って贅沢で…」

 


 弟子のひとりが泣き始めてしまうと、他の者も釣られてしまったらしい。



 「いいか、ひと月で仕上げると約束したからな。何としても仕上げて、次の肉を手に入れるぞ」

 「はい!!!」

 「次の肉?」

 「ああ、米や麦のほかに兎ももらえる約束をした。」

 「兎なんて、そんなに都合よく1か月で2羽も捕まえられるものですか?」

 「捕まえると思うぞ。約束は違わない人だからな。」

 「一体どなたです?」

 「リュウジさんだ。」

 「それってあの…水車の滑車を作った方ですか?」

 「そうだ」

 「農業ギルドの方が水をくみ上げる道具があるとか言っていましたが、そういったものは作りましたか?」

 「いや、そんなものは作っていないし、聞いたことはないな。」

 「そうですか…」



 ドニーは、水の道具に意識を向けなかった。

注文された金属製の檻を大量にどうするのだろうと、ふと考えていた。

 




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