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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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204/239

204


 「リュウジさん、種を分けてもらえないだろうか?」

 「種?俺の手持ちもあまり多くはないけど、何が欲しい?」

 「種芋があればうれしいけど…」

 「芋はないなぁ…全部植えてしまったよ。」

 「そうだよね…」

 「蕪や小松菜なら、結構な数の種はある。それと雑穀類ならあるが…」

 「雑穀?」

 「粟とか稗、黍もかな…これらは広い土地で表面を耕せばいいけど、土地があれば…」

 「それで土地も肥えるのか?」

 「まぁ、いくらかは…」

 「それなら、ギルドの土地が相当にある。それはどうやって食べる?」

 「黍なら、麦のように脱穀して籾刷りすると黄色い粒が出てくるから蒸すか煮るかして食べる。」

 「よさそうじゃないか。」

 「粟や稗も似たようなものだけど、苦みやえぐみがあるから、どちらかというと餌かな?」

 「放棄地に植えられそうなのは分かった。それで、うちの農地に植えるものだけど…」

 「ちょっと待って…これが南瓜の種だ。芋のような食感で腹に貯まる。保存が良ければ冬まで保つ。」

 「それはいいじゃないか。」

 「うちの畑にも植えているからいいと思う。ただ、ちょっと芽が出にくいので、ここをほんの少し切り落として、種を水に浸けて3日経ったら濡らした布で包んで芽が出たら植える。」

 「わかった。」

 「でも、これでは足りないだろうから、やっぱり蕪や小松菜は植えたほうがいい。食べられるものをとりあえず作って出荷しよう。売れきれなければ塩漬けにして遠くへ運んだっていい。」

 「塩漬け?」

 「ああ」

 「まあ、いい。とにかく植えたほうがいいのはわかるから、やってみる。」

 「もう少ししたら植えられる野菜もあるから、今はこれでやっていてほしい。」



 隆二は、できるだけここで育てた野菜からとれた種を渡したかったが、今はまだ栽培を始めたばかりで難しい。とにかく今は食べられるものを増やさないと冬は越せそうもない。できる限りの作物を作ってもらおう。

 それが隆二の気持ちだった。


 プランターの野菜や各畑の作物の2割を種取りのために育てた。

 かぼちゃは別だ。実を食べて種を取ればいい。そうやって手に入れた種を研修生の畑で栽培してもらい、種が採れたら倍返ししてもらう約束にした。研修生たちは、当面は金を支払わずに種を手に入れられるようにしたのだ。




 実際は、カップによる軽量なのでいい加減なものだったが、大量に収穫できた後なので、倍返し以上に返してくれた。

 元が現代の知識や技術が詰め込まれた種なので、害虫に強いのだ。

 本来、次世代は作れないようになっているはずだが、この世界ではそうはならないらしい。

 違う世界に移動するときにそのリミッターは外されたのかもしれない。



 隆二は、時折森に行き、家畜にできそうな動物を探していたが、なかなか思うようには捕まえられなかった。

 種も探した。特に穀物やイモ類を探したかったが、見つけたのは大きな里芋だった。親芋のようだが、親芋も食べられるようなので、子芋を植えて親芋を食べればよさそうだ。

 日本でもそんな芋があるとテレビで見た記憶があった。



 この芋は、第5区画に植えた。

 結構な数を見つけたので、見つけた場所には子芋を数個ずつ残してきた。全部取っては環境に悪い。

 そして、子芋を種芋として植えた。残った親芋は赤子の頭ほどもあり、そこに子芋は10数個もついていたのだ。インベントリに入っている親芋は100個を超えていた。



 まな板の上で削るように皮を剥いた。1cm角に切り煮てみるが、崩れにくいようだ。里芋のねっとり滑らかな感じはなくほこほことしている。腹は満たされるようなので、これはいいものを見つけたと思った。


 食べ方をスープ売りの女性たちと洗濯場のララに教えると、彼女たちは早速取り入れてくれた。

 




読んでくださりありがとうございます。

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