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スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

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 「こんなご時世だし、偶には少し贅沢しようよ。」



 アカサは、隣人のセイに誘われて一緒に川沿いに来ていた。

 「最近きれいになったね。男でもできた?」と軽口を叩いたらそう誘われたのだ。

 セイに言われて手持ちの服の全て5枚も持ってきている。


 

 「水浴びに銅貨5枚!?お金がかかるのかい?」

 「小銀貨3枚と銅貨5枚持っておいでって言っただろ?」

 「持ってきたけどさ、なんでお金なんて…」

 「いいからいいから、入るよ。」


 

 セイが小屋へ銅貨5枚を支払うのを見て、アカサもお金を取り出した。

 贅沢と言いながら、手持ちの服を持ってこいというし…一体何なのか。

 まさか売れとは言わないよね?そんな事はしないと信じているけれど、少し不安になった。

 持ってきた服は、自分の娘時代から大切にしてきた物や亡き夫に買ってもらったもの、特別な日に着る物も含まれていた。買った時と比べると黒ずんでしまっているけれど、どれも大切な物でお金が無くても売ることもできずに仕舞っていた。

 セイが「偶には洗わないと服がかわいそうだ」というので持ってきていた。偶の贅沢と洗濯というかみ合わない組み合わせだと今頃思っていた。



 「銅貨5枚確かに。こちら石鹸です。」

 「へ?ああ…」


 

 コイン2枚分ほどの半円形の物を渡された。



 「それじゃあ、先に洗濯をしようか。」

 「セイ石鹸って何だい?」

 「それは水浴びの時に使うからなくすんじゃないよ。」

 「わかった…」


 

 セイが川へ向かい見慣れない盥らしきもののところへ行き、手を挙げた。


 

 「洗濯石鹸は小銀貨1枚になります。」

 「アカサ小銀貨1枚だよ。」

 「へ?ああ…」



 少年に小銀貨1枚を渡すと、盥の横についている筒に栓をしてから青い液体を柄杓1杯分入れていった。



 「アカサ、ここにそこにある手桶1杯分の水を汲んできてよ。」

 「うん…」



 アカサが手桶を手に5ⅿ先の川から水を汲んでくる。



 「ここに入れて」

 「うん…うわぁ…泡立つね…」

 

 

 手桶の水をいれると青い液体が混ざり白い泡が立つ。


 

 「ここに服を入れてごらん」

 「うん…」

 「そうしたら、上にのって足で踏むんだ。」

 「わかった…」

 


 白っぽい泡で包まれていた水は、アカサが服を入れて踏む度に黒くなり泡が消えていく。

 


 「え?なにこれ?水が真っ黒になっているけど、大丈夫なの?」

 「その黒いのは、服の汚れだよ。」

 「これが?私ちゃんと洗っているよ。」

 「水で洗うだけじゃ汚れは落ちないんだって」

 「そんなはずない…」

 「そうなの。そうじゃなきゃ黒くならないから…」

 「そんな…」



 ショックだった。

 いつもしっかりとこすっているのに、洗えていない?

 今、足で踏んでいるだけで汚れが出ていると言われても信じられる話ではなかった。



 「よし、そろそろいいよ。そうしたらそこの栓を抜いて足で踏んで水を押し出して」

 「わかった。」

 「水がきれたようだから、栓をして濯ぎをしよう。」

 

 

 真っ黒な水を踏んで押し出していると、セイが水桶で水を入れてくれる。

 2~3回水を入れたら栓をして水を入れてくれた。



 「さっきと同じように踏んでいて」

 「うん…」


 

 セイが何回も水を汲んでくれる。その水を入れて踏んでいるとその水はグレーというか茶色に濁っていく。

 でも、服の色が持ってきた時とは異なり白っぽくなっていた。

 あの黒い水は本当に汚れだったの?



 「アカサもういいよ。水を捨てようか。」

 「うん…」

 「ほら、白くなってきただろ?」

 「うん…本当に汚れていたのね。」

 「信じられないのもわかるよ。私も驚いたもの。」

 「セイも?」

 「うん、私の服は2枚しか持っていないから体を洗う時に洗った水で何度も洗って白くなっていったけど、アカサは何枚も持っているだろ?まとめて洗っておけばさ…」

 「そういうことか…確かに1回洗っておけば、あとは水浴びの都度でいいってことだね。」

 「そうだよ。」

 「お客さん、そこまで濯いでいるなら、あとは籠へ入れて濯いでいいですよ。」



 先ほどの少年が声をかけてきた。






読んでくださりありがとうございます。

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