表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スマホを持って異世界に行ったのに、検索ができない  作者:
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/243

190



 翌日、レイラが仕事を探しに商業ギルドへ行くと、ギルマスの娘さんに声をかけられた。



 「レイラさん、住み込みで働ける人を募集していますが、やってみませんか?」

 「仕事内容は?」

 「道具の手入れなどです。」

 「あの条件は、どのような…」

 「川沿いに有料の水浴び場と洗濯場があるのはご存じですか?」

 「はい、昨日行ってきました。」

 「やっぱり。今日は髪がサラサラですもの。あの場所です。住む部屋は、入口2軒から離れた小屋になります。1階に道具をいれているところで、夕方道具を洗って乾かして小屋にしまいます。寝泊りは2階のようです。朝、道具を出して、掃除をしてという仕事で1日中働くことになりますが、朝と夜に子供も含めてスープなどが出されます。」

 「そんな仕事をなぜ私に?」

 「店主の意向です。子供の小さな方にやってもらいたいと言っています。子供を見ながらできる仕事だと。ただ川の近くなので子供たちは水に気をつけなければなりません。そこは責任を持てませんので」

 「そんなことは構わないよ。子供たちに言い聞かせればいいことだ。本当にいいのかな…」

 「こういう仕事は早い物勝ちです。洗濯場の管理は大変ですが、がんばってください。」

 「わかった。どこに行けばいい?」

 「こちらを持って、洗濯場へ行ってください。引っ越しはできますか?」

 「もちろん、大丈夫。」



 今の家は、夫の兄の家で1部屋間借りていた。夫が亡くなった今はとても肩身の狭い生活だったので、小屋であっても住める場所があるなら嬉しい。

 

 レイラは、一旦確認をするために自分だけで洗濯場を訪ねた。



 「すいません。こちらの洗濯場で働くことになったのですが…」

 「あんた昨日来てくれた人だね。」

 「レイラといいます。」

 「あら、あたしはヒサラだよ。よかった。あたしは入場者の担当で手一杯だったんだ。」

 「それで、どうしたら…」

 「ちょっとお待ち、今旦那様が来ているのさ。」



 ヒサラさんが、子供に誰かを呼びに行かせた。



 「リュウジさん、レイラさんだって。洗濯場担当希望だよ。」

 「それはよかった。隆二と言います。では、レイラさんこちらへどうぞ」


 リュウジさんという雇い主は、若い男だった。見たことのない上等な服を着ている。なるほどこういう人がこういう場所を作るのか。



 「レイラさんにやってほしいのは、この洗濯場の管理の全てと洗濯洗剤を売ることです。」

 「はぁ」

 「仕事としては、朝客が来る前に水槽のごみを取ること。虫や葉っぱをこれで取り除いてください。」

 「はぁ」

 「それから、洗濯籠が20個あります。客が帰ったらこの籠をこれで擦ってきれいに洗って漱いでこちらに並べて乾かしてください。それからこの桶や盥などとこの脱水機2台もです。」

 


 そういうと、リュウジさんは使い方を説明してくれた。

 


 「客がいる間は、道具の使い方を説明し、洗濯洗剤を売ってください。洗濯洗剤は、このお玉1杯で小銀貨1枚です。これを買った人に道具を貸します。買わない人は使えません。」

 「わかりました。」

 「この樽1個でお玉100杯分入っています。つまりこれ1個売ると小銀貨100枚です。」

 「わかりやすいですね。」

 「はい、わかりやすいので、こぼさないように気を付けてください。金箱との確認もします。」

 「はい」

 「それと、売り方は小屋の中からでもいいですし、この金袋を持って洗剤をその場で売ってもかまいません。」

 「なるほど」

 「お子さんがいると聞きましたので、小屋を見てください。こちらにカウンター、階段は急だから気を付けるように、階段を挟んでこちらに1部屋、それから階段を上がると左右に1部屋あります。カウンターのスペースには、夕方道具が乾いたらこちらに入れてください。失くしたら弁償してもらうので気を付けるように。」

 「はい」

  

 失くしたら弁償…当たり前だけど、気をつけなきゃと思う。

 


 「食事は、食堂のララさんが作ってくれます。子供の分も作りますから人数分受け取るように。それと湯冷ましは薬缶一つ分を毎朝渡されます。それで足りなければ、ご自分で薪を用意して竈を使ってください。」

 


 自分でと言っても、家を用意してくれて食事も湯冷ましも用意してくれるなら、現金の支給はないだろう。それで薪を用意するのは難しい。



 「ご安心ください。売り上げが正しければ、お金もお渡しします。不正がわかったらすぐに追い出します。」

 「そんなことはしません。信頼にお答えできるよう頑張ります。」

 「期待しています。では、これが小屋の鍵です。今日の客が帰ったら道具を洗うところからお願いします。今日から食事は用意させます。」



 レイラは隆二を見送ると、ヒサラとララに挨拶をして、子供たちを迎えに義兄の家へと向かった。




読んでくださりありがとうございます。

評価をいただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ