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「シドさん、小松菜と蕪を毎週1畝ずつ、出荷を始めようと思う。農業ギルドに届けは必要かだろうか?」
「届けはいらない。秋に税として1区画で木箱5個分ずつの麦と芋が必要になる。ヒロの土地で2区画、リュウジさんの土地で5区画あるから合わせて35箱ずつになる。」
「1箱はどの大きさ?」
「これだ。15㎏くらい入る。」
「それなら525㎏ってことだな?」
「そうなるな。ただ、ここ10年は納めてこなかった分も納められるなら納めろと言われる可能性はなくもない。」
「芋はできるだろうが…麦はそこまでは無理だな。5年分と他の野菜でどうにかしてもらえないだろうか?」
「それは税務官次第だが、受け入れてもらえる可能性が高いと思う。」
「それはどうして?」
「どこも全てが足りていない。食べ物を回収できるならなんでもいいのではないかと思う。」
「それなら、日持ちのする野菜を提案させてもらいたいものだな…」
「ああ、それだと領主も助かると思う。」
シドは、肩を震わせた。
「それにしても、芋は10年分納められるとは…随分と自信がある。」
「そりゃあ、これだけ青々と茂ってくれているからね。1番の少しと2番のほとんどはじゃがいもだが、こちらの想像以上に青々としていてよく収穫できそうだろ?」
「まあ、確かに…水路からの水だけじゃなく、雨がなければ水撒きまでしているからな。」
「それは当然だろう?あまりにも乾ききった土地だからある程度の手当はしてやらないとな。そのうち雨頼みでもいいくらいの保水力がつくだろうけど…今はまだその状態ではないからね。」
「この水撒きの道具は、秘密にするのか?」
「え?いや、このポンプも商業ギルドに登録している。ホースは、竹で作ってもいいだろう」
「そうなのか?それなら沢山作って農業ギルドで使ってもいいのか?」
「それはもちろん。」
「あっそうだ。話がそれてしまったが、蕪と小松菜の出荷についてだが…」
「週に100個ずつくらい売るとしてどうやって売るのがいいと思う?」
「そうだな…、1日置きに交互に3日ずつ売るのはどうだろう?」
「30個くらいずつ?」
「ああ」
「さすがに少なすぎだよ。」
「それなら2日に分けて火、金で売るのはどうだろうか?蕪の日と小松菜の日だ。」
「それならいいかな?いくらがいいと思う?」
「そうだな…蕪で小銀貨1枚、小松菜は1本銅貨4枚はどうだ?」
「そうだな…いいと思う。」
ヒイロより高い値段の提案に隆二は乗ることにした。
こうして、翌日の火曜日に蕪、金曜日に小松菜が売られるようになった。
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