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翌日、ヒイロに話すとリリアさんと私服の警備を手伝いにつけてくれた。
3人で壺を載せた台車を運んだ。
5㎏ずつ壺へ入れたので手では運べなかった。壺の重さを入れると全部で32㎏もある。
「では、確かに受け取った。こちらは約束の証明とギルド章だ。」
「ありがとうございます。では、よろしくお付き合いください。」
「こちらこそ。いつでもスライムの持ち込みも歓迎する。」
ギルド章は、竹の札だった。
ギルドの証明は板に書かれていた。
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薬師ギルド 特別会員 リュウジ殿
食品バーの製造・販売を認める。
薬ドロップについては、都度相談のこと。
会費は902年まで納入済み。
販売税として902年まで納入済み。
(年当たり砂糖1㎏、塩1㎏。合計各10㎏)
水色スライムの大量捕獲および捕獲方指南により特別会員として認めるものとする。
光陽暦892年6月17日
薬師ギルド ギルド長 ガッツ・ロベルト・オルシア
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証明書を受け取ると、3人で歩く。
「翁のあのような表情は初めて見ました。」
「リリアさん知り合いでしたか?」
「薬師様は、この国一番と名高い方です。気難しい方でして…」
「そうなんだ」
「5年ほど前に、スターティアにいらして…その前は帝都にいたようです。」
「へぇ」
「それにしても…中身を知らなくてよかったです。」
「ん?」
「警備が必要な理由はわかりましたが、あんなものがあるなんて…」
「まあ、量が多くてね。手配するのは大変でした。」
「大変って…手配しようとしてできるものですか…」
「しばらくは無理だよ。」
「それはそうですよ。あれほどの質のものをあの量なんて…そう簡単にできませんって…」
「大げさな」
「運ぶものを知っていたら間違いなく挙動不審になりました。」
「そこまで?」
「当たり前です。」
リリアにそういわれると、隆二は何も言えなくなった。
それにしても、帝都から流れてきた高名な薬師か…。
昨日の会話を思い出す。帝王陛下の主席薬師しか知らないミルクセーキを知っているということは、ガッツ翁がその元帝王陛下の主席薬師だったのだろう。
その人の名で出された許可証なら、効力はありそうだな。
ドロップを販売したといわれて面倒なことになることは避けられそうだと隆二は喜んでいた。
世界で唯一、最高位の薬師が認めた特別枠の薬師になったとは夢にも思っていな隆二だった。
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