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ある日、ギルドに行くと大騒ぎをしていた。
「水色スライムが何で湧いたんだ!?」
水色スライム?
井戸で湧くのか?
隆二は興味津々で噂の場所へと向かった。薬師ギルドの近くのせいか、薬師たちがどうにか捕獲しようと右往左往していた。
どうやら虫網のような物で掬おうとしているようだが、井戸が深くてうまくいかないようだ。核を潰せば消えるが、水を汚染されるのを心配しているのか?
「馬鹿野郎!潰したらせっかくのスライムが台無しだ。核を刺してそのまま引き上げるんだ!」
怒声が飛んでいる。
なるほど…水の心配ではなく、スライムの身を確保するためか。
「こんにちは、引き上げるのをお手伝いしましょうか?」
「おお、リュウジ殿ではないか。」
数人の男たちに胡散臭そうな視線を向けられる中、あの時の薬師ガッツ翁が返事をしてくれた。
「この通り、水色スライムが大繁殖しておる。手伝ってもらってもよいか?」
「もちろんです。」
「お前たち、釣瓶の扱いは隆二殿へ任せよ。」
「はぁ」
「それなら、私がスライムを釣瓶で引き上げるので、皆さんで仕留めてください。何か入れ物があるならここに並べてもらえますか?」
「ほれ、お前たちその辺りの箱をここに並べよ。」
「入れたら離れたところへ運んで仕留めてください。ここには空の入れ物を置くようにお願いします。」
「わかった。」
隆二はガッツ翁が少し離れたところで陣取り、他の薬師達が箱を移動させるために動き回っているのを確認してから釣瓶を動かす。
周囲に聞き取りにくい無清音で話し始めた。
「シスサポ、インベントリを開いて」
『かしこまりました。インベントリ開きました。』
「リリー、『今』フォルダにある空の箱に水色スライム5つ入れて」
『かしこまりにゃん♪』
「リリー、『今』フォルダある箱の中の水色スライムをこの釣瓶の桶に1つ入れて。」
『かしこまりにゃん♪』
隆二は、釣瓶の桶を引き上げる。中には水色スライムがいる。
それを後ろの箱ㇸと移した。
「おお!さすが早いな。お前たち箱をこちらへ」
「はい!」
薬師たちは、ガッツ翁の元へと箱を運んでいく。それを確認した隆二は、ものすごいスピードでスライムを移し始めた。
「次から次へと…早いよ…」
「ちょっと待ってくれ」
隆二は、最初の4箱はすべてを取り出したが、それ以降は水色スライムを5つ入れては1つ取り出していく。
ある程度捕まえたところで、一旦休憩をした。
「すいません、休憩させてください。」
「もちろんです。」
「リュウジ殿、こちらへお座りください。」
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