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隆二は、女性たちに丁寧に答える。
「粥としては、200杯分だね。」
「それって、小銀貨50枚で200枚になるっていう事?」
「そう単純ではないよ。薪や屋台、場所代もある。今までのように400杯ずつ売ればいいけど、そんなに沢山屋台で仕込むのは大変だよ。だから少ない量になるし、その分そういったお金もかかる。」
「なるほど商売がなんとなくわかりました。それなら、例えば屋台を借りずに道具を自分で揃えたらその分安くなりますよね?」
「そうだね。だけど…たとえばあの鍋は大銀貨1枚する。それを2つ貸し出して小屋もついて、水樽や包丁…いろいろついて銀貨2枚は高くないと思うよ。」
「それは、そうですね。」
「それと、家に全ての食材を持って借り持ってくるのは危険だ。ギルドに場所を借りて置いていった方がいいだろう。」
「はい」
「場所は1週間単位で借りられる。一番小さいところで銀貨1枚だ。小銀貨で10枚。その分はトレーの反対側へ移そう。
3人が左側へ10枚並べた。右側に残っているのは小銀貨108枚だ。
「1週間、いままでのように店を出すとして、1度に70~80杯売るとする。2㎏で5日分くらいだから、4㎏買うか5日の営業にするかになる。6日営業するなら4㎏買う。そうすると小銀貨100枚だから他の物が買えなくなるね。でも、これは1日分の売り上げだから、ある程度売ったらそういう事もできる。」
「はい」
「今回は、米を2㎏買うとしよう。小銀貨50枚だ。」
トレーの残りが少なくなった。
「そして、塩の壺1つ分で小銀貨40枚だ。」
「あぁ…」
「残り18だね。今回は、スープ原液バー8本入りを開業祝にプレゼントする。売る時には8本で銀貨4枚になる。1週間分は2セット必要になるから銀貨8枚だ。スープを売らない日を作ってもいいし、よく考えるように。」
「はい。」
「来週に限り、蕪は1つ小銀貨2枚、小松菜は3つ小銀貨2枚で用意する。」
「本当に?」
「ああ。それと売り上げは家に持ち帰らず、ギルドと契約をして口座を作るといい。預けておくと手数料はかかるが襲われる危険はない。」
「はい…」
女性たちは困った顔をしていた。
「意味は分かりました。上手にすれば儲けが出ることもなんとなくわかりました。でも、このお金はリュウジさんので、実際には私たちお金なんて持っていなくて…」
「うん、そうだね。でもそのトレーにあるお金、小銀貨26枚はあげる。今まで頑張ってくれたお礼だ。それと開店祝に屋台を月曜日から水曜日まで借りてある。今回は、俺の独断で屋台街の場所も3日分押さえている。場所は帰る前にリリアさんに聞くこと。」
「は…い…」
3人は呆然としている。
「ギルドの荷物置き場を抑えてあるが、料金は支払っていないので帰る前に支払っていくこと。中に開店祝に食材を入れてあるから、月曜日からそれを使って商売をする。月~水だけは、野菜はこちらで用意する。火曜日にリリアさんに木・金の注文をすること。金曜までに翌週の注文1週間分をまとめてすること。」
「はい!!」
「その制服は、プレゼントするからそのまま着ていていいです。仕事が終わったら今まで通り脱ぐのが安全だからね。」
「はい、やってみます。」
「うそみたい。自分で商売するなんて。」
食材を開店祝いにもらえるとわかって、不安な気持ちがうすまる。
3人はキャッキャと盛り上がっていた。
ちなみにウォータージャグはこの機会にギルドに登録をした。ついでに、バナの葉を入れると1週間ほど保つことも書き加える。
ウォータージャグを乗せる架台を数種類、車のついた物から固定型まで8種類ほども登録した。
登録後、これら…特にウォータージャグと脱水機は、商業ギルドが職人ギルドに大量発注し、翌週には販売され大人気となった。
食べる物が少なすぎて、力が入らない者も多いため、ウォータージャグと車輪のついた架台があれば水汲みが楽に行え、使用も楽だったのだ。
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