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女性たちは、隆二とともに屋台広場まで屋台を引いてきた。
「先ずは粥の鍋を火に掛ける。最初は強火でもいいが、あまり強いと焦げるので気を付けて」
「沸き上がったら蓋をとってしばらく煮ると米が膨らんでくる。一粒取り出して、こうやって潰れたら火から下ろして蓋をして火のついていないこちらに置いておく。」
「どうしてだい?」
「薪がもったいないだろう?」
「なるほど」
「次にスープの鍋を掛ける。そして、中にこのスープ原液バーを3本入れる。」
「へぇ…」
「沸くまでの間に、具の用意をする。今日は、蕪を用意した。よく洗ってから実を小さく刻んで沸騰したスープに入れる。葉っぱもよくよく洗ってから小さく刻んで、こちらは売る直前に入れたほうがいいだろう。」
「なるほど」
「次に粥を開けてごらん。結構膨らんだと思う。」
「あっ本当だ。さっきは汁っぽかったけど今は売るときに近いかも。」
「見た目だけね。塩が入っていないからここに壺の塩をスプーンで山盛り2杯分入れてよく混ぜる」
「スープも同じようにスプーン山盛り2杯でいつもの味になる。」
「なるほど。どちらも水は線までいれるといいのね。」
「そういう事だよ。さあ、米は何杯入れた?」
「2杯」
「塩は?」
「2杯」
「スープ原液バーは?」
「2杯」
「スープの塩は?」
「2杯だ」
「覚えやすくてよかったよ。」
「うん、覚えやすくしてみたよ。」
「へぇ、リュウジさんはすごいねぇ」
「さぁ、これを一人で売ってごらん。売れたら交代して売れるようにもう作っておいたよ。」
「はい!」
3人は、自分の番になると緊張した面持ちで客の相手をしていた。
他の人の時は、見ながら気を付けることを考えている様子だった。
「うん、いつも通り販売できたね。では、屋台を持って帰って手入れをしてからギルドへ返そう。」
「はい」
持ち帰り、鍋や道具を洗う。包丁はカバーをつけて引き出しへ、鍋とお玉も専用の置き場所へ置く。
水樽の水を使って壁や台を吹き上げて掃除終了となった。竈の火は金属の塵取りのようなものに取り、専用の入れ物に入れて蓋をする。
その上で竈を覆う箱をギルド職員が被せる。
これで万が一火が残っていても酸欠で消えてしまう。
「これで片づけは終わりになる。今日の稼ぎを持ったら小部屋へ行こう。」
「はい」
「では、今からトレーを置くからそこに今日の売り上げを一人ずつ置いてみましょう。」
3人ともコインをトレーに並べていく。このトレーは縦に小銀貨が10枚並ぶように作られている。
それぞれ160枚前後の小銀貨が並んだ。
「今日は材料を出したのは俺で、みんなはいつも通りの条件なので均等にするよ。」
3人が同じになるように並べなおした。
「まず、屋台の借り賃が銀貨2枚、もしくは小銀貨20枚だ。」
3人のトレーから20枚引いていく。
「次に屋台の場所代が、ギルド近くだと小銀貨20枚、小屋の方でも小銀貨15枚だ。」
今は、20枚引く。
「残り120枚あるが、薪と食材は自分で持ってこなくてはいけない。薪は竈2台で2巻になる。いくらする?」
「それだと…小銀貨2枚くらいです。」
「そうだな。では、2枚引こう。」
「一番の問題は、米と塩、スープ原液バーとスープの具だろう。」
「はい。私たちでは仕入れ方法がわかりません。」
「そうだね。週に一度売りに来よう。金額はその週によって変わるので、リリアさんに聞けばわかるようにする。野菜はすぐに傷むから当日の朝リリアさんから受け取る。それ以外は月曜の朝に届けに来る。」
「お値段は…」
「さっきも言った通り、その時で変わる。だけどそうだね…米は2㎏で銀貨5枚にしよう。小銀貨50枚だね。」
「あの…2㎏ってどのくらいの量ですか?お粥にして何杯分に…」
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