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貸し出し用の屋台は、隆二が制作中でもう少しで出来上がる。
ウォータージャグのある屋台は、あの小屋の縮小版だった。
小さな腰高の竈が2台ついた荷車は、女性一人でも引っ張ることができる。目的地では車輪止めを使い足場を固める。衝立よりも軽量な枠のみの物を竹で作ってあり、それを設置することで客は並ぶだろう。鍋も10L2つと90㏄の4番お玉2本もある。
店主は、食材と燃料さえあればよい。
1日の貸し出し料金は銀貨2枚の予定だ。
隆二は薬研でドライスライム(青)を粉末にしていた。これと精製塩を混ぜてスライム塩を作っていた。
これは、ロティやシアン、ヒロトなどからアイテムリストから交換している精製塩がかなり塩辛いといわれていた。不純物がないのから塩辛いらしいので、スライムを混ぜることで塩味を減らし、一緒に食べる物の栄養価が増すのならよいのではと思ったからだ。彼女たちにスライムを見せるわけにはいかない。
女性達に渡すのは、米2㎏の入った壺。粥40杯分を計量できる升、スライム塩200gの小さな壺、スープ原液バー8本ずつだ。
「リュウジさん、お店をやってみようと思います。料理を教えてください。」
店をしたいなら早めにくるようにと言っておいたので、朝の8時に彼女たち3人がやってきた。
「いいだろう。それと売り上げなどの管理も説明しよう。」
「はい!よろしくお願いします。」
「今日は、練習をしてみよう。来週からは自分でするのだから、いいね?」
「はい!」
「では、これが貸し出し用の屋台だ。小さな竈が2台ある。水樽と鍋1つに水を汲むところから開始だ。」
「はい!」
「水を汲んで水樽はここに乗せる。鍋はシンクに置いて蓋をしよう。もうひとつの鍋は粥を作る。」
「では、まずは粥の作り方だ。」
3人とも文字が書けないので、見て覚えるしかない。
「この鍋は、升2杯分の米の粥分作れる。少なく作るなら升1杯にすればいい。」
「はい。」
「米を2杯分鍋に入れて、水を入れてよく混ぜ濁った汁を捨てる。それから鍋のこの線まで水を入れておく。」
「はい」
「では、次にこの屋台を広場まで引いていく。今日は、小屋の隣を1か所借りているが、来週の分からは自分でギルドに申し込みしなくてはいけない。今日の帰りにでも場所の予約をした方がいいだろう。それと屋台は3日だけ貸し出し料を免除するがそれも予約が必要だからね。」
「はぁ…」
ギルドから小屋までは距離があり、400mほどを引いてきた。
隆二は、女性たちに向かって声をかけた。
「よし、では屋台の車輪に車止めをつけていく。このように置いたら大丈夫だ。それでは手を洗って調理を始めよう。」
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