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ヒイロのいくらで卸してくれるという問いに、隆二は数秒考えた。
一応、考えていた金額を反芻して問題ないと判断した。
「まず…デカビタミンバーは10本で大銀貨4枚。カスタードバーは8本銀貨1枚ではどうだろうか?」
「そんな値でいいのか?」
「特別料金だ。」
「デカビタミンは1本大銀貨3枚でいいかな。」
本当はカスタードバーを高くしてデカビタミンを下げたい。それくらい手間も材料費も違うのだが、ヒイロはデカビタミンの方が高いと信じて疑っていない。
こんなに高価な必要はないのだが、ヒイロやルルの父親が土地を渡してきたことを考えるとあまり安くするのも申し訳ない。何よりたかられては困る。
「わかった。それなら、デカビタミン1/10は銀貨5枚。デカビタミンバーは銀貨6枚、カスタードバーは小銀貨3枚で販売するとしよう。税もあるので、それでいいだろうか?」
「そうだね、それでいいと思う。」
「では、量もあるし金額も大きい。俺が週に1回取りに来ることにする。どのくらい前に注文すればいい?」
「3日くらいの猶予は欲しい。」
「わかった。それでは、今ある分を教えてもらい明日の朝に取りに来る。来週の月曜の朝に取りに来る分は、デカビタミン10本、デカビタミンバー100本、カスタードバー120本は難しいだろうか?」
「問題ない。明日用意できるのは、デカビタミン9本、デカビタミンバー100本、カスタードバー120本だ。」
「わかったでは7,150,000ダルだな。金貨7枚、大銀貨1枚、銀貨5枚を持ってくる。」
改めて聞くととんでもない高額取引だ。
銀貨1枚は1万ダルだ。デカビタミン1本で30万だなんてやはりどう考えても高額だ。何かもう少し安価に栄養補給する手段も考えようか…。
翌日、商業ギルドはギルドメンバーへ発表をした。
「本日10時より、毎週月水金の3日間、枯れ死病に効く食品を販売する。いいか薬ではなく食品バーというものだ。薬のドロップじゃないぞ。液体とバーの2種があり、バーは日持ちする分追加で銀貨1枚だ。」
「欲しい者は1回量大銀貨5枚と小銀貨3枚を持ってくるように。渡して当日中に使えない者には日持ちするバーを用意する。」
「使い方としては、デカビタミン1回分を飲ませ、寝て起きたらカスタードバー1本を食べさせるか飲ませる。これである程度の回復が見込める。デカビタミンは液薬とバーがある。液薬は当日中、バーは1週間以内に使うこと。」
そして、農業ギルドへはデカビタミンバー20本とカスタードバー20本が売り渡された。これは、あのナナの父が農業ギルドのマスターであり、デカビタミンの存在を知っているためヒイロが貸しを作らせる意味もあった。
これ以降、カスタードバーが屋台街に出ることはなくなった。
隆二たちの製造が間に合わなくなったのだ。
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