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少し短いです。
「ヒイロさん、この間の件だけど…」
「ああ、薬とカスタードバーのことだな?」
「薬じゃないですよ…」
隆二は、ロティにヒイロへの伝言を頼んでいた。
その日の夜にヒイロが訪ねてきた。今日は月明りもないので、ろうそくを使っている。
ガラス皿にろうそくを落として、立てているだけの簡素なものをテーブルの中央に置いてあった。
「まず、このデカビタミンは週に10本都合できる。それと、これがデカビタミンバーで、こっちがカスタードバーだ。」
隆二は、ヒイロの前にデカビタミンとそれぞれのバーの入った瓶を置いた。それと竹で作ったトングもセットで乗せる。素手で触れば賞味期限はあっという間に短くなってしまう気がしていた。
ヒイロが目を見張ってそれらを眺めた。
「実際に販売するときには、瓶でもいいけど…売れそうな分だけ皿に並べておくのもいいと思う。こちらで用意するときには、特別な袋に入れて渡すから袋は返して欲しい。それと、袋は人には見せないで少人数で管理して欲しいけど、できそうかな?」
「わかった。」
「まず、カスタードバーは小さくしてある。縦長に切ってあるからね。大きさは2本で銀貨1枚のカスタードバーを4等分にして8本分に分けた。」
ヒイロが頷くのを確認してから、隆二はデカビタミンバーに手を置いた。
デカビタミンバーは栄養価が10倍になることを見込んで100等分にしていた。
「そして、こっちのデカビタミンバーはこれ10個で1本分だ。どちらのバーも水をカップに1杯飲んでから食べて、もう一回飲む。もしくはお湯100㏄に溶かして飲むこと。」
「なるほど、100ccの水とバー1本だな。」
「そういうこと」
「それで、金額だけど…」
「できれば俺はギルドへ売るから、ギルドがそれを買い取ってほしい。売値はギルドの自由でいいけれど、同じ町の住人とは助け合ってくれると信じている。」
ヒイロが苦笑いをした。商業ギルドは儲けるのが仕事だ。それを助け合うと信じていると言われてしまうと、あまり利幅は求められない。悪どいと思われたら、薬をおろしてもらえなくなってしまうと理解してくれるはずだ。
「わかった。それで、いくらで卸してくれる?」
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