146
「ロティは2本で銀貨1枚と半分にした物を銀貨3枚で売ったよう…だ…け…」
「安すぎるだろ」
「そうでもないよ。高いけど、手を出せるくらいだと思っ…」
「そうだった。リュウジさんはそう人だったな。そんな値では儲けなんてなくなるだろ?」
「そうでもないよ。儲けは出ているから心配いらない。」
「はぁ…」
「そうだ、デカビタミンもバーにしてみようか?そうしたら日持ちさせられるかもしれない。」
「それができたら、持ち帰りが楽になるが…だが青スライムを使うなんて金額が跳ね上がる。」
「それは気にしなくていいよ。いくらで売るつもりなの?」
隆二は苦笑いをしてしまう。土地をくれようとしたし、今回は名義変更までしたらしいことからかなりの高額を見積もっているとは思っていた。
「金貨1枚で1本といいたいところだが…今回の土地の2区画も、作物ができずに手に余っているのもあり買っても大銀貨50枚になるかどうか?」
「ははは…やっぱりそんな風に考えていたのか。ならあのパックの白いものは?」
「あれも検討がつかないが、薬の補助のようなものだろうと思って大銀貨1枚かな?」
「なるほどね。…」
隆二は、鍋を火からおろすと火の残っている竈には半分ほど水を入れた薬缶を乗せた。
「それなら…畑を見せてもらおうかな?」
「ああ、行こう」
隆二は、畑にいるヒロに声をかけて家を出た。
ヒイロと向かった土地は、水浴び場横の区画だった。
これは、これで使い道があると思い隆二はいろいろと思考を巡らせた。
「どうだ?川沿いの畑は、台風で浸水することもあるが、そんなあとは肥えて作物が実ることもある。リュウジさんなら活用できるだろう?」
「そうですね。ここであれば、今の区画とも続いていますし使い道は多そうです。」
「なら決まりだな。」
ヒイロが土地の権利書という板を取り出してきた。
「それと、先ほどの話に戻るが…」
「デカビタミンバーのこと?」
「そうだ。取り急ぎ、液体のままでいいから欲しい。そのバーという物が出来るようなら、それもまたお願いしたい。」
「わかりました。少しお時間ください。」
「もちろんだ。その…用意出来たらすぐに教えてくれ。」
「もちろんそのつもりです。」
リュウジはヒイロと挨拶をして、家へと戻った。
丁度沸き上がった湯でお茶を淹れる。
「ヒイロさんの用件って大丈夫ですか?」
ヒロが心配そうに聞いてきた。
「川沿いの土地をくれるって…これ権利書…」
「え!?隣の土地はかなりいい土地で…」
「そうらしいね。水門だけは外れている。」
「それはそうですよ。農業ギルドで重要ですから…」
「だよなぁ。」
「水門の権利が欲しかったの?」
「いや…水が来ていればそれでいいよ。」
「ではなぜ?」
「整備された水浴び場が欲しいなと思って…」
「水浴び場を整備?川に入るだけでいいのに?」
「それはそうだが、流れがあって危ないだろ?子供たちは危険だ。」
「小さい子は盥を持っていけばいいし、そんな気にしても…」
「それが危険なんだよ。もう少しやりようがある…」
「へぇ」
ヒロは、不思議そうな表情のままなので、伝わっていないのだけはわかった。
「みずあびするなら、わたしもいきたい!」
「違うよ。でも、どちらにしてもロロナは俺たちとはいけないだろ?」
「どうして?」
「女の子だからね。リリアさんに連れて行ってもらうほうがいい。」
「そんなことないもん」
「あるんだよ。」
「わたしだっていっしょにはいれるもん」
「だめだよ。」
ロロナが会話に入ってきたので、いつものやり取りが始まってしまった。
ロロナは女の子だから、病み上がりに湯につからせたくらいで、その後はリリアさんにお願いしていた。
読んでくださりありがとうございます。
評価をいただけると嬉しいです。
今日の更新はここまで、明日は18時すぎから更新予定です。