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 「さあ、いかがでしょう?このバー2本で銀貨1枚ですが、半分にしたこの細いバーなら1本で小銀貨3枚!細いのでお湯はコップ1杯がいいでしょう。これは3日も日持ちします。」



 ロティは声を張り上げた。

 細い物は割高である。粥とスープを買う1.5倍の値段だ。だけど3日も持つ。本当はもっと持つけれど、長く日持ちするものなどないから不信感を持たれないために短く言説明した。細長いので折って少しずつ食べることもできる。いつ食べ物を買えるかわからない人や遠出をする人には魅力的なはずだ。

 予想通り、100本あった細いバーは売り切れた。太いバーも2本で銀貨1枚と高額ながら売り切れていた。


 バーが売り切れると人々のほとんどは去っていった。残っているのは、価格の高いドロップだけだ。

 数人の男たちがこちらを見ていたが、その中の1人が寄ってきた。

 ブロンドの少しうねりのある長い髪を後ろで束ねている。シャツにパンツとブーツという出で立ちは、お忍びの貴族のようだ。痩せていて目がぎょろついていても、少し前の町人のように骨と皮ではない。それなりに食べられる立場の者なのだろう。



 「なぁ、そっちの瓶に入っている物はなんだ?」

 「こちらは、ドリンクの元です。先ほどの物と違い必ず煮溶かす必要があります。その代わり日持ちしまして、今あるものは最長で3か月です。」

 


声をかけてきた男は目を見開いた。



 「金を出すから、1つ作ってもらえないだろうか?」

 「こちらこの小さい物で小銀貨5枚ですが、よろしいですか?」

 「かまわない」

 「では、少々おまちください。」



 ロティは小鍋にカップ1杯の湯を入れて火にかけた。沸いたところでカスタードドロップを1片入れて溶かす。溶け切ったところで、それを客の出したカップへと入れた。



 「熱いのでお気をつけて」

 「ありがとう」



 男は代金を支払うと、スプーンでかき混ぜとろみを確認した。それから少しだけすくって口に入れる。



 「この味…砂糖を使っているよな?」

 「はい」


 

 ロティは口元に指先を当てた。男は目を見開き、味を確認するように何度もスプーンを口へと運ぶ。男はしばらく思案した様子を見せてから口を開いた。

 


 「この味はミルクセーキに似ている。」

 「作った人もそういっていました。材料はほとんど同じようです。日持ちするのが違うところでしょうか」

 「なっ…」



 男は口をパクパクと動かすが言葉が出てきていない。

 しばらくして落ち着いたのか咳払いをした。




読んでくださりありがとうございます。


評価をいただけると嬉しいです。



今日の更新はここまで、明日は18時過ぎに更新予定です。


ミルクセーキは、全卵でバナナを入れてミキサーにかけると泡立ってふわふわなミルクセーキになります。



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