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青スライムの生を使い栄養価を10倍に高められるようになると分かったので、週に2匹のフレッシュなスライムが必要になった。
今の状態だと日に2匹増えるので問題はない。
隆二は、カスタードクリームに少しのサラダ油を入れてエネルギーを上げたものを作ることにした。薬のドロップではないので、竹カップに入れて6時間ほど放置すると中まで固まる。それを取り出して、ケーキのように8等分に切り分ける。手のひらサイズの小さな三角形が出来上がる。
それをさらに乾かすと2年ほど保つ高エネルギー食になる。
1片を100ccのお湯に入れて蓋をしておくとクリーム状になる。スライムの影響で柔らかいクリームのようになるのだ。200ccのお湯に入れれば薄いミルクセーキのようなものにもなる。
さらに、水分と油を増やし、空気を入れ込む技も取り入れて完全凝固をしてもそのまま食べられる固さのものも作った。
賞味期限は約2年、お湯を入れるだけでいいので取り扱いも楽だ。
1か月後には満を持して、販売を始める。
メインの販売者はロティとあって、ほのかに甘い飲み物の味を知っている者たちが集まる。あれは神の薬だと思っている者もいた。それほどに飲むと体調が改善していたのだ。
そうして、店に並ぶ小さな物を見て期待外れだといわんばかりの顔をした。
店に並んでいるのは、手のひらに乗る小さな三角形の物と板状のものだ。
「さあ、この板状のものはほんのり甘いバーだよ。1本食べてカップ2杯のお湯を飲むと不思議なことにおなかが膨れる優れものだ。」
「あのなぁ、腹がふくれるほど食べるなんてもう何年もねえよ。しかもそんな小さいものでは無理だ。」
「お湯を2杯ってのがあれじゃねえか、その時は膨れるだろうがすぐに腹がへっちまう」
「そうだよなぁ。お湯で膨らませるってのはなぁ」
「そう思いますよね。お気持ちはわかります。では、こちらの深皿にカップ2杯のお湯を入れてお見せしましょう。」
「少し場所を開けてください。お湯を運ぶので危ないですよ。」
ロティはミニテーブルを客の中に置き、深皿にカップ2杯の湯を入れた。そこにバー1本を3つに折って入れる。するとみるみると膨らんでいく。それをスプーンで混ぜると、とろみのある液体へと変わった。
「せっかくですから、この溶かした物の味見をしてもらいましょうか。そこのあなた1本じゃ腹が満たされないと言っていましたね。これを食べてみてください。」
「おっおぅ。いいのか?」
さきほど文句を言っていた男がそれを一口食べると、夢中になり食べ始めた。それでも半分ほどで手を止める。
「うまい、甘くてうまいけどもう腹がいっぱいになってきちまった…これ持って帰ってもいいか?」
「それなら、俺らにも食べさせろ。」
「そうだ、食べてみたい。」
後ろで見ていた人たちが持っていたスプーンを出して男の持っている器からクリーム状になりつつあるそれを掬っていく。
その間に、ロティは屋台へと戻った。
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