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逆をいうと、コンビニ飯や隆二の料理を食べ慣れてきている人たちでも4倍に薄めてちょうどいいなら、他の人たちはもっと薄めてもいいのだろう。
でもこれと同じものを10倍に薄めるのはやはり薄すぎる気がする。
カスタードクリームを携帯食とするならば、材料を1.5倍にして固めそれを10倍に薄めてもらうくらいがいいかもしれない。濃ければ薄めればいいのだ。薄くできたものの調整は難しい。
ロティに催促されたとはいえ、食べさせてみて良かったと思う
隆二は、部屋に戻ると切り分けたドロップを袋に入れ口を開けたままインベントリへ収納した。袋には番号を書いてある。
『カスタードドロップ①:可食期間残り112日。糖分・タンパク質が多い。主な材料は甜菜・牛乳・青スライム・鶏卵・小麦。1片当たりエネルギー84(840)kcal、蛋白室2.4(24)g、脂質1.6(16)g。糖質とタンパク質の栄養の多い食べ物。』
あれ?
全部じゃなくて1片?どういうことだ?
あの材料でこのエネルギー量になるはずがない。
それに砂糖は、甜菜って…原材料で載るのか。
隆二は、インベントリへ入れた青スライムの説明を見る。
『ドライスライム(青):可食期間残り662日。材料は青スライム。1片998~1024mlまで凝固可。アオマッペに対しては栄養価を5倍に高める。』
え?
栄養価5倍!?
隆二は、生のスライムを1切れ入れた袋をインベントリへといれて情報を見る。
『青スライムの身:可食期間残り21時間。1/10使用で20Lまでなら可食時間24時間保持。1990mlまで凝固可。凝固状態であれば720日保管可。アオマッペに対しては栄養価を10倍に高める。』
おぉぉぉ!
なるほど、生のままだと丸一日の賞味期限で2L前後まで凝固できる。しかも約2年に賞味期限伸ばす?それにしても栄養価10倍はすごい。自分が食べるときには気を付けないと一気に太りそうだ。いや、アオマッペに対してとわざわざ書いてある。アオマッペはおそらく、この世界の生き物か人のことだ。自分には効果はないのだろう。
1本食べるとかなりの高カロリーだけどつまり1回には多すぎる。大きさはもう少し考えたほうがよさそうだ。
隆二は、ロティに青スライムのスライスを4切れ渡し、販売用の粥とスープに入れてもらう。
粥は箱に保管していた物を出す日だったため、粥の分は1Lの湯で煮溶かしてから熱いお粥に混ぜてもらった。
それを食べたロティやシアンは昼に声をかけるまで昼だと気が付かないほど腹が満たされていたらしい。
隆二は、1度は試したもののそれ以降は自分たちが食べる粥やスープにスライムは入れず、子供たちには自分と同じように食事をしてもらう。
売り物については、放置しての食中毒を抑えるためにも鍋1つに対して1切れの割合で加えることにした。これで24時間は安心できる。
そして、カスタードドロップは試行錯誤を繰り返していた。
試作品が貯まっても困るので、それをお湯で溶かした薄味の飲み物にしたものにする。それをロティが週に1~2度のペースで広場に屋台を出して売り始めた。
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