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カスタードクリームの材料は卵に砂糖、小麦粉に牛乳で栄養もありそうだ。
これにスライムを入れて日持ちできれば、薄めた汁でも元気になれるのでは?
隆二は最初のレシピに、青スライムの生を1/100個加えて電子レンジスキルで温めてみる。かなり混ぜにくく合わさっているのか不安になってくるぐらいの硬さだった。追加で6回目のレンジをかけてからそれを袋に入れて平らにし放置する。
次に牛乳300に増やしたものにスライムを入れて同じように作業し、こちらは7回目のレンジをかけてから平らにして放置する。
どちらも30分ほどで固まってきた。
10等分で牛乳200の方は1つ38g、牛乳300の方は48gになった。
切り分けてさらに放置する。熱さましのドロップは完全に固まるまで2日はかかった。
ドロップは10倍に薄めてから3日もつといっていたけど、それがこの卵などの生ものでも持つかはわかない。
「トントン」
「リュウジさん、いい匂いがしてきてどうしても気になるのだけど…」
ドアの向こうから、ロティの声が聞こえてきた。
隆二は、最初に作ったカスタードクリームをもって部屋を出た。
スライムで固めたものはそのままにしておく。
「ロティさんは鼻がいいな。居間で食べようか?」
「うん」
ロティは階段を降りると、靴を履いて土間になっている居間の椅子には座らずに台所へ向かった。
隆二がカスタードクリームの入った深皿をテーブルに置くころには、ロティがカップとスプーンを用意してきた。
こういう時は素早いな。
ロティは、テーブルにそれらを置くと、裏口から出て子供たちを呼んできた。子供たちは裏口においてある水樽の水で手を洗う水音が聞こえる。しばらくすると家の中へ入ってきた。
「何々?」
「いいにおいがする!」
「試しに作ったから、たくさんは無いぞ」
スプーンに山盛り1杯ずつ分けると、丁度5人分だった。
「食べてごらん。濃すぎたらお湯を加えて混ぜるといいよ。」
隆二がスプーンで掬って食べるのを見て、子供たちは少しだけ救って口へと運ぶ。
食べたとたんに、4人は目を見開いた。
「これは、すごく濃いですね。」
「甘い!」
「なにこれ!おいしい!」
シアンはそういうとお湯を少し加えて混ぜ、少し加えてを繰り返し2倍まで薄めてしまった。シアンは一番多く、隆二の食べ物を食べているのにこの薄め方なのだ。
他の3人は、4倍ほどに薄めコーンクリームくらいの粘度にして食べている。
スプーンですくってよく味わっているので、優しい甘さというところだろうか?
「どうだ?」
「甘くておいしい」
「このあじすき」
「甘くてしあわせ」
「このくらいがおいしいです。」
最後のロティのこのくらいっていうのが本音だろう。
ロティもシアンと負けずに隆二と同じものを食べていたが、いつも水をたくさん飲んでいた。それはなるほどここまで味覚の違いがあるのか。
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