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連載開始1か月です。

読んでくださりありがとうございます。




 「彼らはお金がないから装飾品で支払うと言ってきた。粥の時も宝飾品を持ってくる人はいたけどさ…宝飾品があっても腹は膨れないからね。今はこういったものの価値なんてあってないものだから、米1袋と宝飾品2つで交換してきた。」

 「そりゃあ逞しいな。」

 「僕の場合、リュウジさんが畑を変えてくれると信じているからね。食べ物が普及してきたらこういう物の価値も戻ってくる。それまではおいておくしかないけど、数年のことだと思っているから…。」

 「そういうことか…それでこそロティさんだ。」

 「でも、あの人たちは馬鹿だと思うよ。こんなことがあったら、もう行かなくなるのに…。」

 「それは、それで仕方がない。自業自得だろう。」

 「まぁ…そうだね。」

 「おっお湯が沸いたから、ちょっと待っていて。」



 隆二は薬缶を手に戻ってきた。湯冷ましは飲み干しているので、そこにティーバックを入れお湯を注いだ。

 隆二は、緑茶のティーバックでお茶を軽く出し、それを置いてもう一つのカップに移した。一煎目をロロナに渡し、自分は二煎目を手にした。

 


 「へぇ…親子みたいだな」

 「そうだな。娘みたいでかわいいよ。」

 


 隣に座るロロナの頭を撫でると、隆二を見上げて「えへへ」と笑う。やばいくらいかわいいのは、弱弱しい状態を知っていて、最近少し肉がついて子供らしくなってきたからだろう。

 


 「楽しそうでよかった。」

 


 ロティが、苦笑しているのは妻もいないのにと言いたいのだろう。

 


 「リュウジさん、広場に小屋を建てて粥とスープを売っている店知っているよね?」

 「ああ、俺の店だ。」

 「昨日、買ってみた。粥もスープも少ないけど手頃な値段で、両方買って合わせてもいいくらいスープが濃かった。」

 「うん、塩辛すぎたか?」

 


 ロティは首を振った。



 「きっとほとんどの人は、粥と混ぜて食べると思う。スープだけ買って薄めて飲んでもいいしあれでいいと思う。」

 「そうか、ならよかった。」

 


 ロティは何か言いたげに、少しもじもじとしている。

 平気だとうそぶいているが、かなり怖かったのだろう。そして次の行商に出るのを躊躇している。それは感じ取れた。

 


 「ロティさん、行商に出るにも中途半端になってしまったな。ロバは元気か?」

 「うん、宿の馬小屋にいるよ。」

 「うちのロバ小屋が出来上がっている。そこに小さいけど部屋も付けた。もしよかったら、ロバが出産して落ち着くまでうちに来ないか?」

 「え?」

 「寝るのは、うちの2階にスペースを作れる。いやならロバ小屋でもいい。それで、畑や屋台の手伝いをしてほしい。」

 「リュウジさん、ありがとう。」

 「いや、手伝いが欲しいからね。ヒロとシアンを呼ぶから挨拶をしてやってくれ。」

 「うん。」

 「ついでに小屋も見に行こうか。」

 


 裏口から外へ出て水路脇に移した小屋を見せた。

 


 「随分立派な小屋だね。それに藁も沢山入っている。」

 




読んでくださりありがとうございます。


評価をいただけると嬉しいです。


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