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隆二は、二階へ行くと残りの固形ミルクを割り瓶へと加えた。残っていた2個と合わせて14個のかけらになった。2日か3日持つだろうか?これを飲み切るようになったら、半分サイズでもいいだろう。
隆二は、瓶を手に居間へと戻った。瓶にぎっちりと入っている固形ミルクを見て、ヒイロは目を剥いた。
「リュウジさん、この薬はいくら支払ったら…」
「これですか?そうですね…」
米2000MPを銀貨2.5枚で女将さんに卸しているのを考えると、500MPのミルクは小銀貨8枚と少しだな…半端は面倒だから、切り上げさせてもらおうか。
「銀貨1枚です。」
「は!?」
「え?」
ヒイロと少女は短い声を発して瓶を凝視した。
高かったか?
「リュウジさん、それはだめだ。いくらなんでも安すぎる。」
「ヒイロさん、これ日常的に飲むことになるんですよ?この子のお母さん乳をやれないでしょう?」
「それはそうだが…」
「これで2日か3日です。1週間もすれば1日で飲んでしまうかもしれません。十分に高価ですよ。」
「う~ん…」
「銀貨1枚です。ここだけの話で、他には出せないと思ってください。」
「わかった。リュウジさん、すまない。」
「リュウジさん、ありがとうございます。」
少女が泣きながらお礼を言っていた。
「この家で暮らしているけど、俺はなんでもできるわけではないからね。今回は特別だからそれだけはわかるね。」
「はい。」
「いい子だ。」
「ところで、二人は食事をしたのか?」
「いや、してるわけないだろ?」
「それなら少し待っていて」
隆二は、アイテムリストからロールパンを交換し、昼の残りのスープを取り出した。卵が少しだけ浮いているスープだが、子供たちには好評だった。
「はい、どうぞ」
「リュウジさん、これは?」
「パンとスープだよ。卵は少ししか入っていないけど我慢してくれ。」
「我慢だなんて、十分だよ。いただきます。ほらナナもいただこう。」
「はい…たまご…」
2人はもくもくと食べ始めた。少女はナナさんというらしく食べながら泣いている。そういえば、家に父もいるのだったか…。
まったりし始めた頃、赤子が泣きだした。
「ヒイロさん、お腹をポンポンしてあやしていて。ナナさん、ミルクを作ろう。」
少女と一緒にミルクを作る。
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