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「それじゃあ、俺たちはごはんにしようか。」
「うん、おなかすいた!」
ロロナの元気な返事を聞きながら、隆二は作った料理を盛り付ける。今日の料理は、収穫した蕪と蕪の葉を使った肉野菜炒めだった。肉は、冷凍食品で焼き肉用の味付きだった。かなり味が濃いので、沢山の野菜でいためたほうだろうと思い、足りない分の野菜は炒め野菜用ミックスを使った。パックご飯を温めた物をカップに盛り付けた。ごはんと野菜炒めの組み合わせは、男子ご飯らしくていいと思う。
俺は1パック分そのままだ。子供たちは3人で1パックだが温めてからお湯を入れてもう一度電子レンジにかけてある。足りないようなら追加で用意できる。
「白いのはごはんだ。粥みたいに柔らかくないし、味もついていないが、炒めた肉は塩辛いから、ごはんと食べると丁度よくなるはずだ。」
「へぇ…わかった。」
「いただきます。」
4人で手を合わせて、食べ始めた。
「ん!?しょっぱい!」
「ごはんを口に入れて一緒に食べるんだ。」
「あっ…ん…」
「おいしい!一緒に食べるとおいしい!」
「そうだろう?味が濃いものとこうやって食べる料理だからね。」
口中調味なんて言葉は、日本人くらいしかわからないだろう。
食べ方を教わると、子供たちは炒め物を口に入れてごはんも入れる。それからもぐもぐしている姿はなかなかにかわいらしい。
「すごくおなかいっぱい」
「そうだろうね。おなか空くのにも時間がかかると思うよ。」
「へぇ~」
「さて、片付けを手伝ってくれ。」
「うん、おさらはこぶ」
「僕洗います。」
子供たちが洗い物を始めた。
自分たちがすべきことを考えて動けるようになってきていて頼もしい。
隆二はテーブルを拭き、ヒイロを待っていた。
ヒイロに渡した固形ミルクは1個分だ。飲めるのが分かれば、追加で渡せばいいだろう。
「リュウジさん、どうしよう上手く飲ませられない。」
夕食を終えた頃、ヒイロさんが少女と一緒に赤子を抱いてやってきた。
腕の中の赤子は青白い。
「呼吸はしている?」
「している。」
「ちょっと待っていて。瓶は持っていますか?」
「あります!」
少女が出した瓶をテーブルに置いて、隆二はお湯を沸かした。カップとスプーンそれとタオルハンカチも煮込んだ。
薬缶でも湯を沸かす。
沸騰した中からタオルハンカチをトングで取り出すとカップに入れてスプーンの背で押して絞る。隆二はラテックスグローブをつけてある程度冷めたタオルハンカチを絞った。それを四つ折りにして形を整えると、片方のラテックスグローブの中へくるむようにして外した。三角形が少し出ているゴム手袋包みの出来上がりだ。
固形ミルクをカップに入れ、カップ半分の熱湯を入れた。よく混ぜて溶かし冷めるのを待つ。
「ヒイロさん、こっち向きに座ってください。」
「ああ、わかった。」
隆二は、スプーンの先に少しのミルクを乗せて赤子の口元へと運ぶが、赤子の口は動かない。どうしよう…このままでは死んでしまう。
本日の更新はここまでです。明日は20時頃更新予定です。
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