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「リュウジさん、すまん。頼みがある!!」
夕食の準備をしていると、突然ヒイロがやってきた。
「どうしました?」
「知人の家族が、枯れ死病で危険な状態で…俺の幼馴染で…この間の薬をもらえないだろうか?」
「あれは薬じゃないですよ…。用意しますから、少し待っていてください。」
なるほど、デカビタミンと牛乳をご希望か…。
あれは薬ではないと何度も言っているけど理解してもらえない。
隆二は、2階へ上がってデカビタミンと牛乳を手にリビングへと戻った。
「リュウジさん、ありがとう…これ赤子も飲めるだろうか?」
「え?赤子?」
「子供を産んだばかりの幼馴染と生まれた子供と、その子の兄もなんだ。」
「えっと…ちょっと待ってください。赤子にこれは飲ませられません。いや、先にこれを届けて戻ってきてください。幼馴染さんは飲ませていいです。赤子の兄はいくつですか?」
「10才だ。」
「それなら、これを飲ませて大丈夫ですが、赤子はだめです。2人に飲ませたら戻ってきてください。」
「わかった。行ってくる。」
「ちょっと夕飯待てるか?」
「うん、もちろん。赤さんのお薬優先して。」
隆二は、子供たちに声をかけると、2階へ上がった。
赤子…赤ん坊のミルクは確かあったような…隆二は、アイテムリストを見ていく。
『そのまま飲める液体ミルク缶100㏄』と『持ち歩きに便利な固形ミルクパック4個入り』が交換可能だった。缶の粉ミルクはグレーで交換不可だった。
どっちがいい?
液体ミルクは、開封後に常温で置きっぱなしをされると、食あたりになりそうだ。それでは弱っている赤子などもたない。
固形ミルクにするか…この世界にも瓶はあるから…半分…いや4つに割って瓶に入れるか。1個100㏄になるなら、1/4に25㏄の熱湯で通常の濃度だけど、この世界の味覚を考えると50㏄くらいに薄めるといいくらいか?
いいか悪いかわからないが、このまま死ぬなら試しに飲ませたほうがいいだろう。飲まないようならもう少し薄めてもらえばいい。
「ヒイロさん、赤子にはこれを試してください。作り方を説明しますから、必ず守ってください。」
「わかった。」
「熱湯を用意してください。グラグラに沸いた湯にカップを一つとスプーンを入れて湯の中に沈めて3分くらいグラグラに煮込んでください。」
「カップを煮込む?」
「そうです。それから湯から上げたら内部に触らず、スプーンも先を触らずにカップの中へ入れてください。」
「わかった。」
「この瓶の中の欠片1個をカップに入れ、グラグラに沸いた湯をカップ1/4まで入れます。それを混ぜてかけらが溶けたら、そのまま自然に冷まして触って気持ち温かいかな?くらいの温度になるのを待ってください。」
「そうなったら、スプーンですくって赤子に飲ませて大丈夫です。」
「わかった。飲ませてくる。」
「ヒイロさん、もし飲みきれなくて余ったら捨てるか誰かが飲んでください。残りを赤子に取っておくと腐ってしまいます。」
「わかった。すぐに飲ませるように伝える。」
ヒイロは瓶を持って出て行った。
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