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その日は、カウンターの後ろで見学をして出来るか考えるようにと言われ、仕事を見ていた。
一人がお金を受け取り、一人が粥を盛る。もう一人は客を並ばせていた。
誰にでもできる仕事だった。シアンさんとヒロさんは成人したばかりかどうかの年若い子たちだったが、リュウジさんと同じ上等な服を着ててきぱきと動いていた。
「こんな感じです。お金は、最後にギルドの人と確認をしてギルドへ預けてもらいます。その間に、鍋やお玉を洗い、ここに逆さまにするまでが仕事ですができますか?」
「うん、これならできるよ。」
「役目は、固定ではなく毎回交代してもらいます。」
「うん」
「それから、お腹の調子が悪い人は列を並ばせる係にするので、嘘を言わずに言えますか?」
「うん?腹が痛い時には言えばいいんだね?わかったよ。」
「恥ずかしいから黙っているなんてことのないようにしてくださいね。」
「うんわかった。」
「では、明後日からお願いします。明後日は、俺たち3人が付いて教えるので、お互いの仕事をチラ見しながら覚えてください。」
「ありがとう!頑張るよ」
「それと、今日は仕事を見てもらいましたので、これを持ち帰ってください。」
「見ていただけなのに…いいのかい?」
「もちろんです。明後日来てくださいね。」
見学が終わると、リュウジさんは私たちの意思確認をして粥を持たせてくれた。
信じられない、仕事を覚えるために見ていただけで報酬をくれるなんて、なんていい人なんだ。
この人の愛人になれるなら、幸せになれる。3人を侍らせるような人との経験はないけれど、食べものが手に入るなら気になんてしない。
雇い主を使用人が旦那様と呼ぶのは普通のことだし、旦那様と呼ぶ人ができる。それが久しぶりでなんとなく気持ちが浮ついていた。
コエは大きな勘違いをしたまま仕事の日を迎えた。
約束通りに水浴びをして出勤をする。
「これが制服です。仕事が終わったら洗濯して、仕事の時だけ着るようにしてください。仕事以外で来ていて襲われては大変ですからね。」
渡されたのは、旦那様と同じ服だった。
こんな立派な服を着せようとするなんて、やっぱり愛人だわ。それも結構大事にしてくれるつもりらしい。襲われる心配までしてくれるなんて、本当は結構気に入られている?
「あの…旦那様…」
「俺のこと?リュウジでいいよ。」
「では、リュウジさん着替えさせてもらいます。」
コエが勇気を振り絞り、リュウジの前で服に手を掛けると、他の女たちも負けじと服を脱ぐ。
コエもそうだが、女たちはやせているために胸の膨らみなどほとんどなかった。それでも、どうだとばかりにリュウジさんを見ると、こちらに背を向けてお粥を鍋に移していた。
ええ?興味ないの?それとも、夜に剥くのを楽しみにするタイプなの?
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