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「これなあに?」
最近、人見知りをしなくなってきたロロナが隆二を見ていた。
「これは、シチューだよ。鶏肉と野菜と芋が入っていて牛乳で煮ている。パンもあるから、そのまま食べてもいいが、シチューにつけても旨いぞ。」
「いただきます」
隆二が挨拶をすると、子供たちも真似をして食べ始めた。
隆二がちょうどいいと思う味にしてから、自分の分を盛り付けてから牛乳を足して薄めていた。
「おいしい!おいももひさしぶりにたべた!」
ロロナがご機嫌で言うので、つい笑ってしまう。
ヒロもそれを見てうれしそうだ。
シアンも可愛いと思っているのが伝わってくる表情をしていた。
「リュウジのごはんはぜんぶおいしいね~」
「そうだね。」
「それはロロナが正解」
「パンも柔らかくてそのままでおいしいの」
「それはそうだな。」
「白パンなんて、リュウジさんがいないと食べられないよ。」
「そうだよね。」
毎日、食事の度に褒めてくれるのでむずかゆい。
朝食は粥で、昼は仕事中なのもあり手軽に食べられる物にしていた。
コンビニ飯には飽きていたし、ルーを使ったとしても作った方が美味しい。子供たちにはコンビニ飯をそのまま食べさせることは味が濃すぎて無理だった。そのため、昼は簡単な卵丼や牛乳とパンなど簡単な物になっていた。その分、夕食だけは少し手間をかけたものを食べるようにしていた。
木箱の洗浄がすべて終わったので、子供たちも畑を耕す作業に本格的に参加する。
鍬はいくつもあるが、木製だった。それを振り下ろすが馴れていないこともありなかなか進まない。
4人で午前中いっぱいかかけて10㎡を耕すのが精いっぱいだった。
埒が明かない。
午後からは、耕作機を造ることにした。
鍋を購入したときにもらった壊れかけの二輪車の荷台に竹で作った先の尖った棒を取り付ける。直接つけると歩く場所全てをひっかいてしまうので、使わない時には荷台に倒せるようにした。それを前後に取り付け、引っ張ってみる。
深く耕すことは出来ないが表面10㎝くらいは耕せるようだ。重しを乗せ、いろいろと調整することで30㎝ほどまで耕せるようになった。
子供たちが面白がって引いてくれるので、午後からはそれで一度耕したところに、厠あとから取り出した土も漉き込んだ。
2回耕したのだが、午後からも合計3回耕し2面の準備ができた。
そうやって数日耕し、最初の列から合わせて3列分の畑ができた。そこからさらに1列目を真似て畝を作らせる。
肥料を入れた畑はすぐには使えないので10日ほど置いておくしかない。
子供たちに道路側の畑の耕作を任せ、隆二は他の作業に取り掛かる。
倉庫の1つをスライムの研究に充てていた。
研究と言ってもスライムを飼うのは、あくまでも家の2階だった。倉庫では、ドライスライムを作り、試作していた。
透明と青は、ドロップ作りに使えるのはわかったが、他のスライムはどう使えるのか説明を見ながら、実際の使い方を四苦八苦していた。
木や竹の柵は数年しか持たないので、防腐効果がある物を作りたかったのだ。職人街で鋸や金づち、錐などの工作道具を揃えていたものの、思ったような使い勝手ではない。
隆二は、山で竹なども採取してきていたので、1つの試作品を作るとそれを竹職人のバンブーの元へ持っていき、同じ物を増産してもらう事にした。
その間に、隆二はスライムを使いプラスチックのようになる液を作れないかと試した。
いくつか試した結果、緑スライムの核を潰して得られる液体に緑スライムを粉末にした物を混ぜることでプラスチックのような物を作ることに成功した。問題はこの液を塗ると固まるが、その速度があまりにも早いことだった。それも水を加えたりお湯を加えたりして適温を見つけ出し、そこに全体をつけ置くことで内部まで浸透させ、空気乾燥させることで硬化させることに成功した。その液を置いておくと固まっていくので、放置はできない。完全に硬化するには2週間ほどかかるが、ある程度固まった1週間後には設置はできる硬さになっていた。
竹柵を大量に作るため、液を入れる大きな桶を作ってもらった。そこに漬けては乾かし、何回転もして柵を作っていった。
3区画を囲むための柵なので1つ高さ2m幅1mの柵を80個作る必要があった。
隆二は、畑仕事をしつつ地道に加工していった。
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