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隆二達は、水浴びの度に洗濯をしていたが、その日は少し様相が違った。
隆二が、樽の中に仕掛けを作りハンドルを回すと洗濯できる仕掛けを作った。
洗濯機の方は、上から洗濯物と洗剤水を入れてハンドルを回すと真ん中に棒があり、敷いてある羽のついた底が回るようになっていた。ハンドルを横回しにしたかったが、うまく作れず上部で回すようにした。
洗濯機は力がいるので、踏み洗いの方が楽な気がするが、脱水機はなかなか良かった。
それと、樽の中にザルを入れた脱水機もある。ザルは竹で編んだもので、底の中央に突起のついた円盤を取り付けていた。ザルの上部には蓋の突起がぴったりと嵌る。野菜の水切りのような仕掛けだ。
脱水機は樽の底に一か所穴が開いていて、そこから水が出るようにしていた。脱水した水で埋まるようなことはない。
「脱水機すごい、こんなには手で絞れない!」
ヒロとシアンがいうのを聞いていると、どうやら隆二と同じで洗濯機はいまいちだと思っているようだ。
そこにヒイロがやってきた。
洗濯機と脱水機を使ってもらうと、ヒイロは予想外の言葉を発した。
「これは、ギルドに登録しよう。技術が保護されて作りたい人がいた時には技術料をもらえる。もちろん他人が作るのが嫌であれば、そういう登録もできる。」
「そんなことできるの?もし、真似する人や先に作ったという人がいたらどうなる?」
「その時には、ギルドへの登録日などを精査される。その上で、勝手に使ったと判断された者には違反金が課される。」
「へぇ…違反金…。」
「ああ、物にもよるが…結構な金額になる。」
「わかりました。登録します。」
「では、明日にでもギルドに来てくれ。それと…工作屋を呼んでもいいか?いくつか作りたい。今は食料が優先だが、こういった物があると知っていれば、そのうち欲しくなる者もいるだろう。」
「へぇ…先を見ていますね。」
「いつまでも、こんな不作のままなはずがない。」
「そうですね。」
隆二は、洗濯を終えると水浴びをして家へ戻った。
「夕食できたぞ~」
隆二の声かけに、子供たちが集まってきた。
3人は昼間木箱を洗い終えたので、遊んでいたのだ。
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