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粥の販売を任せられるようになり、隆二は一安心していた。
『評価』で見るとMP上限は6680になっており、7時間と少しで2000MPが戻るようになっていた。つまり寝起きで米一つとその日の食糧・飲み物を手に入れていても夜にはほとんど戻っている。日にもよるが、1日に米は少なくても2袋、多いと4袋は手に入れられるようになっていた。
ヒイロ一家を招いて食事でもしようか。
畑を借りることだし、奥さんの顔も見てみたい。病み上がりが4人もいるから、粥か?いや雑炊にしようか。
雑炊の具は、サラダチキンと育ってきている蕪にして、おかずは、元ベビーリーフだったレタス類と卵料理…オムレツでいいだろうか?それと飲み物は、酒というわけにはいかないだろうから、お茶かな?
夕食を食べながらそれを相談すると、ヒロとシアンに却下された。
「卵と蕪の雑炊だけで十分です。お茶はあってもいいと思うけど、オムレツは驚きすぎちゃうからだめです。」
シアンとヒロがあまりにも真面目にいうので、雑炊と茶というさみしい食卓を用意することになってしまった。
「こんにちは、お招きいただいて」
「いらっしゃい、初めまして隆二です。これはシアン。ふたりでヒロの家に住むことになりました。よろしくお願いします。」
「ハナです。いつも夫と娘がお世話になっています。リュウジさんのおかげで私と息子が助かることができました。ありがとうございます。」
「いえいえ、私が渡したものはただの飲み物ですよ。元気になられてよかったです。どうぞ椅子に座ってください。大したものはありませんが、一緒に食事をしましょう。」
全員がテーブルに着くのを待って雑炊を運んだ。皆の前で深皿に雑炊を取り分ける。スプーンだけは事前においていた。
シアンが竹筒に入れたお茶をカップへ注いでくれる。
「どうぞ召し上がってください。蕪はプランターで育てたものですが、なかなかよくできています。」
「プランター?」
「ええ、ヒイロさんが前に見たベランダにあった小さな畑です。」
「あれか!すごいな…甘くておいしい立派な蕪だ。」
「あの…これまさか卵ですか?」
「はい、少ししか入っていませんが…せっかくお越しいただくので」
「なんて贅沢な…嬉しいですね。」
ハナさんが喜ぶので、これで良かったのかと納得できた。お茶を飲んでもらい、ヒイロさんの話を聞き、ヒロのご両親の話などを聞いているうちに時間が過ぎていった。
「あのね、けさもきのうもきいろい芋であまくておいしいの」
「黄色い芋?」
「それは南瓜という野菜です。芋に似た食感で甘みがあるのです。種を取る関係でたくさん手にいれたので、ここ数日食べさせていて…」
「そんなお野菜が…」
「リュウジさんそんなにあるなら少し分けてもらえないだろうか?もちろん支払いはする。」
「あなた…そんな図々しい…」
「ヒイロさん、かまいませんよ。持ち帰りますか?それとも、明日の朝調理したものをお持ちしますか?」
「いいのか?」
「はい、どちらでもかまいません。」
「それでしたら、朝私が買いに来てもいいですか?」
「リリアさんが来てくれるなら助かります。」
「それで、その…おいくら用意しましょうか?」
金のやり取りは大事だ。支払うことでお互いにウィンウィンにならないとならない。
いくらついでの調理とはいえ、実質2倍量を作らなくてはならない。
「では、小銀貨5枚ではいかがでしょうか?」
「ぜひそれでお願いします。」
「明日は何時ごろがよろしいですか?」
「朝の7時だと遅いですか?」
「いえ、大丈夫です。」
「では、明日の7時にお待ちしていますね。」
これで、明日の朝は南瓜に決定した。
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