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 「リュウジさんたちも水浴びか」

 「ギルマス!こんにちは。」

 「これは息子のロイだ。」

 「はじめして、ロイくん。隆二と言います。お隣のヒロの家に住んでいる。」

 「あっ!お薬をくれた人!ありがとう。リュウジさんのおかげで元気になったってお父さんに聞いたの。」

 


 二パッと笑うロイくんは屈託がない。

 もっとも、挨拶をするには隆二達は素っ裸で、ヒイロ親子は服を着ていてアンバランスだった。

 

 

 「ここで水浴びをしているってことは、こっちに住むことに決めたのか?」

 「はい、よろしくお願いします。」

「リュウジさん、そろそろギルマスではなくヒイロと呼んでもらえないかな?」

 「名前呼びなんてちょっと…」

 「お隣同士になる。遠慮なく呼んでくれ。」

 「わかりました。では、ヒイロさんと呼びます。」

 「ええ、リュウジさん改めてよろしく。」

 「はい、それで…」

 「畑は、貸すでいいよな?欲しくなったらいつでも言ってくれれば名義も変えるからな。」

 「ありがとうございます。お借りしますね。」

 「リュウジさん、一つ聞いてもいいか?」

 「なんでしょう?」

 「あの盥に服が入っているのは洗濯のためだと思うが、一緒に何を入れたんだ?」

 「え?どうしてです?」

 「漬けてある水が真っ黒だった。ずいぶんと汚れが落ちているようだから、気になった。」

 「あれは、洗剤です。服の汚れを落とす石鹸です。」

 「石鹸!?」

 


 ヒイロが、目を見開いた。


 

 「汚れが落ちてさっぱりしますよ。今洗うので使ってみますか?」

 「ああ、ぜひ!」

  


 隆二は、洗濯ものを無造作に踏み洗いをして軽く絞っる。あとは水浴び場と川の間に枝に通して水流に当てれば濯がれるだろう。

 そう思い石の上で脱水替わりに踏んでいると、洗剤液の残っている中にヒイロが脱いだ服を入れていた。

 


 「ヒイロさん!新しい液を作りますよ。」

 「これで十分だ。見てみろ、信じられないくらい汚れが出てきた。」

 


 見に行くと液がさらに真っ黒になっている。これはもう一度洗剤液を変えて洗った方がよいのでは?


 子供たちを洗う時にも目を輝かせているので、一緒にボディソープで洗った。シャンプーとリンスなんて水浴びでは面倒だったので、ボディソープで頭から足まで丸洗いだ。

 その間に、流水に当てていた洗濯物の洗剤は落ちていて、適当に絞り濯いだ盥に入れた。

 

 タオルで拭いて着替えをしていると、ロイくんが自分たちの洗った服を抱きしめて臭いを嗅いでいた。



 「いい匂いがする。」

 「石鹸の香りはほのかでいいですよね。」

 


 隆二の答えに、ヒロ、シアン、ヒイロの3人がなんとも言えない表情をしたことには気が付かなかった。



 「ヒイロさん、明日以降に柵を差し替えて構いませんか?」

 「ああ、好きにしていいが、土地の境目が分からなくならないように一部は残しながら作業をしてくれ。」

 「わかりました。」

 

 

 その日は早めに休み、翌朝起きてすぐに空になった倉庫の中央に穴を掘り、枯れ葉と枝を入れて火をつけ、一晩燻煙した。

 その間、もうひとつの倉庫の片づけを子供たちに任せ、隆二は家に近い4aを耕した。つまり横幅40m奥行10mの広さだ。

 土をインベントリの木箱に入れ、戻す時に腐葉土と台所の灰を混ぜるという地道な作業だ。それから、倉庫から出てきた鍬で畝を作ろうとしたが、面倒すぎたのでインベントリへの出し入れで作ってしまう。1本80cmの畝と間に50cmのスペースを取り30本の畝を作れた。


 昨日見つけたトウモロコシの種と小松菜の種は水に漬けていた。

 トウモロコシは1畝に2列10個で2畝に植えた。

 小松菜は、5列で30個ずつ植えてみる。

 他に、手持ちの蕪の種を小松菜と同様に植えた。

 他には、きゅうりとミニトマトを1畝に10個ずつ直播していく。本当は苗にしてから植えたいところだが、そんな余裕はない。

 残り24畝あるが、大豆はもう少し水に漬けたほうがよいので3日後に2列10個で10畝に植えた。

 残り14畝は、1週間おきに小松菜と蕪を植えていけばよさそうだ。それで12畝使い、残りの2畝は途中で用意できた南瓜を植えた。南瓜は生の南瓜の4つ切り商品をアイテムリストで仕入れ、それから種を取り出した。




 最初の畑は、スキルで作ったが、できる限りヒロに作り方を教えるつもりでいるので、隆二はいろいろと考えていた。


 とにかく腹を満たせるように、じゃがいもとさつまいもをアイテムリストから交換して、家の外の日陰に箱に入れて置いておいた。

 芽を出させてから植えるつもりだ。


 




読んでくださりありがとうございます。


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