表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/191

104 来客



 「でも、そうですね。畑を使えるのは楽しそうです。お借りする形でもいいですか?」

 「ああ、もちろんだ。使ってくれるならそれで…荒れているのを見るのも忍びなくて。」

 「家は使ってもいいですか?それとも…」

 「家は、住むには向かない。かなり古くてボロボロだ。冬の薪にしていい。」

 「そうですか…」

 「家を建てるなら大工を紹介することは出来る。」

 「家なんて建てられませんよ。」

 「建つさ。小さな家であれば金貨50枚もあれば建つ。そのくらいは稼いでいるだろう?」

 「いや、どうかな…でもまあしばらくは通ってもいいですよね。」

 「そうだな。そうだ…ヒロの家に住まないのか?それなら家は必要ない。」

 「いえ、それは…ヒロさんはそう言ってくれますが、そういうわけにも…近所の目もありますし。」

 「リュウジさんなら構わないだろう。近所の連中も、ヒロとロロナのことは気になっているが、自分たちで精一杯でなかなか構ってやれない。信頼できる大人がそばにいてくれるならその方が安心できる。」

 「そうですか?」

 「そうだ。向かいに住んでいるのはセドというのだが、そいつもそう言っていた。ヒロに仕事が見つかったのを心から喜んでいた。大人が一緒にいてくれるなら安心できる。もちろん誰でもいいというわけではない。リュウジさんなら、きちんと接してくれているからね。俺は信頼している。」

 「そうですか…ありがとうございます。少し考えますね。」

 「ああ、頼む。」

 

 「そうだ。リュウジさん、この土地の隣からヒロの家まではヒロの土地だ。見ての通り荒れ果てている。この裏の区画は、別の人の持ち物だったが、ヒロの親に譲られていた。これだけの畑があれば、隆二さんならいろいろとできるのではないか?」

 「へぇ…」



 なるほど…ヒロの家に住めば160aを3面使えると言いたいのか。

ヒロの家と倉庫があるので、その分を差し引いても全部で450aくらいは使えるだろう。作物を作るには十分な広さであり、スライムを育てることもできそうだ。

 周囲が構わない、むしろ安心だというなら問題は少ない。もちろん、畑を使っていいのかヒロに確認してからになるが…。

 シアンの意見を聞いてみるか…。



 一度ヒロの元へ戻る。

 二人ともすっかり髪は乾いていたので、ベッドへ寝かせた。

 ヒロの土地は、一緒に耕し俺が借りる土地は適当にやればいいか?

 

 それに…ギルマスは人を雇って商売を続ける提案もしてくれたので、それもいいだろう。粥の作り方もそのうちに教えてしまえば、俺は完全に時間ができる。

 シアンに聞いてみるか。






 

 隆二は、翌朝シアンが来るのを待ち相談した。

 


 「リュウジさんがそうしたいなら、それでいいと思う。それで…俺はどうしたらいいの?」

 「シアンさんがよければ、ここに一緒に住もう。ヒロさんはシアンさんも一緒に住みたいと言っている。今までと違って畑作業もすることになる。週に3回、昼間の粥売りもあるし、スライムも続けるつもりだ。」

 「そっちも?」

 「ああ、そのためにはシアンさんの手伝いは欠かせない。」

 「なんだ…よかった。」

 「ん?」

 「てっきり、もう面倒は見られないからって兵士に突き出されるのかと思って…」

 「そんなことするわけないだろ。シアンさんも大事な子だ、心配するな。」

 「あはは…俺、リュウジさんに悪いことしたのに、本当にお人よしすぎ」



 シアンは緊張が解けたのか、泣いてしまった。

 頭を撫でて、背中を軽くたたいた。

 物音に振り向けば、ヒロが見ていた。

 


 「ヒロさん、そういうわけで一緒に暮らしてもいいかな?」

 「もちろん!」

 


 ヒロが抱き着いてきて、ロロナも抱き着いてきた。

 それから4人で朝食にする。

 その日は、家の周囲を見て回り、1階の掃除をして時間が過ぎてしまった。

 

 日が暮れる前に、隆二とシアンは一度宿へと戻った。




読んでくださりありがとうございます。


評価をいただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ