不死騎

十年前、ルワーズ公国を舞台に近隣二カ国が衝突した戦争が終結したのは、伝染性吸血病の流行が原因であった。両軍が撤退した後も、公国には病が蔓延し、その状況は医学博士ヨアヒム・カイパーとその弟子たちの登場まで続いたのである。

ヤン・エッシャーは伝染性吸血病の病理を明らかにしたカイパー博士の愛弟子であり、患者である吸血鬼の掃討作戦の指揮を取った、ウィレム・ファン・バステン将軍の実弟であった。

ステーン湖畔のヶテル村で診療所を営んでいたヤンは、国境地域における伝染性吸血病が原因と思われる集団失踪事件と、カイパー博士、兄弟子のマウリッツ・スタンジェの失踪を知る。兄からの依頼を受けたヤンは兄の部下である剣士シモン・コールハース共に、吸血鬼を使った大いなる陰謀に戦いを挑むこととなった。