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9話 殺す気か!?

「悪魔だからと言って、いっ今はヒトだぞ!

 痛みも感じる。

 死に至るような壮絶な痛みを感じさせたとなれば

 おまえを助けるどころか恨むぞ!」


「…!

 い、いえ。ただ聖職者を呼び悪魔を追い出すよう命じたなら

 その体から出られるかと…」


「そ、そうか…」


早とちりした…

ごめん、皇后


「でも、それも怖いな。

 追い出されるならまだしも消されたらと思うと。ちょっと、ホラ、やっぱ怖いだろ、」


「悪魔というものは払うことは出来ても、消すことは出来ないと聞きます。」


「…それでも体から無理矢理はがされたら、痛そうではないか…。」


「分かりました。聖職者に頼るのはやめましょう。

 悪魔といえど、痛みには弱いのですね…ハハ。」



なんか腹立つな。

私自身は悪魔でもないけどさ…


でも、なんだか雰囲気は(なご)んだ気がする。


「とりあえず、私はおまえに協力してやろう。

 この体をつかって、皇后様いままでスイマセンって振る舞えば

 社交界での皇后の顔はたてられるんだろう。」


「ええ、まあ…そうですね。

 助かります。」


「皇帝の件も、おまえが何かしら計画を立てろ。

 私はこの世界か…もしくはこの時代のことを何も知らん。

 出来る限り協力はしてやる。」


「はい。

 有難いお言葉感謝します。」


その時、コンコンとノックの音がして

空気が張り詰めた。


「皇后陛下。

 エビネでございます。」


「エビネ…

 入りなさい。」


皇后の表情を見るに大丈夫そうだ。


恐る恐る入ってきたのはあの侍女だった。

ああ、エビネって呼んでた気がする…

横文字の名前は全然覚えられない。


エビネ、エビネ…

海老ね~

海老海老

よし、覚えた。


「外に人は居なかった?」


「はい。人払いされておりましたし

 外にいた私にもお声は届いておりませんでした。」


「良かった。

 そうね…

 悪魔様、覚えておいででしょうか。

 あの時一緒にいた者です。」


「うむ。」


「エビネにございます。」


「今回の一件を知るのは、悪魔様とわたくしとエビネ。

 この3人しかおりません。

 第1の契約として、この件について3人以外に口外しないこと。

 誰かに怪しまれる行動をとらないこと。といたしましょう。


 よろしいでしょうか、悪魔様。」


「うむ。」


なんだこの沈黙は…


「悪魔様、申し訳ございません。

 聖なる神への誓い方は存じでおりますが、

 悪魔様への誓い方は勉強不足でございまして、」


誓い方とかそんなのあるんか。


うーん、まあ、これでいいだろう。


「小指を出せ。」


皇后と侍女が私の真似をして小指を立ててみせる。


「こうやって組む。

 ちょっと3人だとやりずらいが、」


はじめての体験に二人とも小さい子みたいに目を丸くしている。


「指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲ーます。

 指切った!」


「…これで、良いのですか?」


「うむ。

 契約を履行しなかった場合、喉に針が千本刺さって死ぬ。」


「ヒィ!」

間髪入れずに悲鳴をあげたのはエビネだった。

相変わらずビビりだなあ。

皇后は力のない悪魔との契約を甘く見ているのか、子供だましの儀式だと(あなど)っているのか

「そう怯えなくとも、約束を守れば良いのです。」

とエビネよりも肝が据わった様子だ。


萎縮しきったエビネに気を使ったのか、皇后も立ち去るようで

すっと立ち上がった。

これからやるべきこと公務なんかが頭によぎったのか

皇后の表情がすっと硬くなった。

こう見るとやはり疲れが溜まっているようだ。


「また、先ほどの計画については考えておきます。

 何かありましたら、わたくしかエビネをお呼びください。

 わたくしは公務で席が外せないことも多いですから、エビネをお呼びくだされば確実でしょう。」


そう言われたエビネは、今にも逃げ出したそうな怯えた顔だが。


「分かった。」


エビネは、皇后と悪魔との間で何が起こったのだという顔で

ちらちらと私たち二人を見ていた。


この侍女も仲間だというなら、あまり怯えさせてもしょうがない。


「ビタミンとって、蒸しタオルで目あっためて休みな~。」


ちょっと皇后の味方だぞと言わんばかりに思いやりを見せおいてやろう。

私が会社終わりにするルーティンを教えてやる。


「び、たみん…?」


「ビタミンだ。フルーツとか。」


「は、はい。

 それで、あの、むしたおるとは…」

 

「蒸した…布だ。」


「フルーツを食べて、蒸した布で目を温めるのですか…?」


「少しは疲れが取れるぞ。」


「ではそのようにさせて頂きます。

 いきましょう、エビネ。」


皇后が去って行って1人部屋に残された私は、

Wi-Fi環境もスマホもない環境を恨んで悶々としていたが

ふいにメイドからフルーツと蒸した布が届けられて皇后の計らいか、と顔を緩ませたのだった。


エビネの名前について「海老ね~」などと主人公が言っていますが

あながち間違ってもいません。

エビネは海老根と書きます。

海老が丸まったような形の球根が連なっていることから、海老根ということみたいです。


さて。

いつもは1話1000字くらいを目安に区切りをつけていますが

今回は2000字程度にしてみました。

読んでいる方には読みづらいでしょうか?


展開も当初の予定より進みが遅く、読み手にもどかしく感じさせていないかも気になります。

ご指摘・感想など、もしよければお聞かせくださいね


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