8話 低級悪魔という設定を追加
「わたくしの目的は分かっていただけたようですね。
では、悪魔様はどのようなことをして下さるのでしょうか。」
…、
悪魔が、私が、この人にできること…?
私がぽかんとしたのが伝わったのか、皇后も少し戸惑っている。
いかん!
ポーカーフェイスになれ…
そして、
出来ること、できること…
悪魔らしいことなど出来るわけがない。
こんなことなら、なんかマジックでも学んでおけばよかったかも…
いやいやいや、こんな状況に追い込まれるなんて知らないし?
「…。」
何て答えればいいんだ…
「わたくし、悪魔というものにそれほど詳しくもないのですが…
人を洗脳する、天候を操るなど…」
あ~ハイハイ
超常現象的なね!
無理!
はっはは
「できん。」
「…出来ないとは、」
「おまえら人間にはその様なことが出来るのか?」
「出来るわけがありません。」
「そうだろうな。
そしてワシもそうだ。
ほれ、今はヒトの体に閉じ込められておる。
ワシはヒトだ。」
「…。わたくしに何か施すのが気に入らないという訳ではなく、
その、能力的な理由で出来ないと、仰りたいのですね…」
「ワシがこの体にいなければ、少しは何かしてやれたかもしれんが…
こうして閉じ込められてしまってはなぁ、」
この体から出すことはできないのか?
いや、帰らせる魔術も無かったし…とか皇后は考えていそうだな。
私は少し窮地を潜り抜けて安心し、謎に高みの見物をしていて、
これまでとは反対に皇后があたふたしている。
なんか可哀そうだ。
ごめんよ。
私も来たいと思ってここへ来た訳じゃないけど、
皇后の邪魔をしてしまったのなら申し訳ない気もする。
「それなら…もう1度悪魔を呼び出してみよ。
ワシ以外のやつがやってくれるかもしれん。
名もないワシのような低級悪魔ではなく、もっと上のやつを呼びだすのじゃ。」
自分が力になれない時でも代替案を出すのが社会人ってもんよ。
「出来ません…
今は警備が厳しくなっておりますし、
それに…、大それた魔法陣を作るのは難しいのです。
大抵の魔法陣には4色の蝋燭を使いますが、魔術のために使うしか用途がなく作り手も少ないため
わたくしが手に入れようとすればすぐに足が付きます。
悪魔様を呼び出したあの魔法陣だけが、唯一わたくしが用意できるものだったのです。」
Oh・・・
詰みでは?
「その…、この娘の体から出られれれば、悪魔の力が戻るのですよね。」
何を考えている…
「わたくし共が、魔術書を信じたせいで悪魔様をその体に閉じ込めてしまったのでしょう。」
「まさか、この娘を殺してこの体から出そうと思っているのではあるまいな?」
おっそろしい。
皇后にでもなると、人の命などどうでも良いのだな。
まして忌々しい愛人ともなれば
首をはねるなど造作もないんだろう。
うわあ、こっわ貴族、
「悪魔だからと言って、いっ今はヒトだぞ!
痛みも感じる。
死に至るような壮絶な痛みを感じさせたとなれば
おまえを助けるどころか恨むぞ!」