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わたしのしあわせ  作者: mikataka
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わたしのしあわせ 9

こうちゃんとはデートする事も増えたの。

デートって言ってもモール行ってブラブラしたりアイスとか食べたり、本屋さんで一緒に選んで買ったり。たまに水族館も行ったよ。

そうやってデートしてお隣まで送り届けて、時々だけど晩ごはんご馳走になったり。


一緒にごはん食べててこうちゃんが人参食べられない事が有ったの。

そうだよね、こうちゃんまだ小さいもんね。

お母さん「好き嫌いしてると美佳ちゃん来てくれなくなっちゃうよ」

こうちゃん「そうなの?」

私「そんな事無いけど、人参食べれないとカッコ悪いよ、私はカッコいい男の子が好きだな」

そしたらね、頑張って食べたの、人参全部。

こうちゃん「食べたよ!」

かわいくて思わず抱きついちゃったよ。


本屋さんは良く行くんだけど、自分の本だけじゃなくてこうちゃんが読めそうな本も買うようになったの。

こうちゃんが私の部屋に来た時に、一緒に読めるようにね。


最初はお母さんと一緒に来たけど、2回目からは1人で来るようになったの。来ると玄関でぎゅって抱きしめちゃう、かわいいんだもん。

一緒に本読んだりお話したり、なんだか小さい弟が出来たみたい、かわいいの。


夕方になると送って行って、そのまま晩ごはんご馳走になったりして、お隣のお父さんもお母さんも本当に良くしてくれるの。

お父さんが居るって、なんだか憧れる。

お父さん生きてたら、こんな感じだったのかなあ。


こうちゃんのお部屋に行ったら私の部屋の前だったの、カーテン閉めないと部屋の中まる見え。

それからは窓からこうちゃんが見えると手を振ったり窓開けてお話したり。


彼とはあんまり連絡もしなくなってきたの。

それでも時々行ったりしてたけど、なんかそっけない。

離れてるとダメなのかな。


高校卒業して、半年くらいの頃の事なんだけど。

彼のアパートの鍵もらってたから週末彼が仕事だと、時々だけど昼間から行って、洗濯とか掃除とかしてあげてたの。私、卒業してから隣の県に就職して独り暮らししてたんだけど、時々行ってたの。その日は仕事でいないって言われてたんだけど、連絡せずに行って驚かせようと思って、黙って行ったの。平日は会えなくなっちゃったしね。

私読書が好きだから、本棚見ながらどんなの読んでるのかなって、手に取りながら見てたの。

本の奥にプラスチックの何かが見えて、本をどかして見てみたの。

ケースに入ったディスクが何枚か出てきたの。

シールが貼ってあって数字が書いて有るの、日付かなぁ。

よく見ると、真ん中の穴の所にDVDって書いてあったからDVDってわかったの。

なんだろうと思って、部屋に有ったデッキに入れて見てみたの、テレビは凄く大きいやつ。

ここのベッドルームみたいなんだけど、誰か座ってたの。

よく見ると、私だった。


見ててわかった、初めての時だ。

声も入ってて、私が泣きながら、痛い痛いって叫んでる。

彼の顔ははっきり見えないけど、笑ってるみたい。

終わって、彼が画面から消えた所で止まった。

そのままにしてたら違う日のが始まった。

私が着替えてるのも有った。

初めて露出した日のも有った。

モールで露出してる時のも有る。

入口のエスカレーターからずっと。

あとをつけるみたいに、ずっと。

誰かに録らせたんだ。

駐車場の階段のも有った。

下からずっと。

あの時の男も仲間だったんだ。

部屋に帰ってからのも、他の日のも有った。


日付の字の色が違うのが3枚有ったの、見ると私じゃない女の子が座ってた。

制服だったけど私が出た高校の制服。この学校、学年でネクタイの色が違うんだけど、私の時と同じ色。画面のすみに日付と時間が出てるんだけど、その年の5月。この子、この年の一年生だった。痩せてて黒髪で、中学生みたいな幼い子。

彼が画面に入って来て、始めたの。

裸にしてからカメラに向けて、アソコを広げながらいじってる。

思い出すと、私のもそうだった。

この子も泣きながら、痛い痛いって叫んでる。

こんどは彼の顔写ってた。

ニヤニヤしてる。

わざとだ。

彼が画面から消えた所で止まった。

それ以上見れなかった。


ベッドルームに行って、角度からカメラが有りそうな場所を探したら、たぶん全部見つけた。

全部出して壊してやったよ。椅子持ち上げて、叩きつけた。

DVDも全部割った。裸足で踏んだら少し切れちゃったから、靴はいて足で踏んで割った。

終わってから、頭に来すぎて震えてた。

どれくらいたったかわからないけど、会わない内に帰ろうと思って部屋を出た。

ドアの鍵穴に合鍵差したままにして鍵閉めずに。キーホルダーで私のってわかるはず。


自分のアパートに帰るまでは怒りのテンションで泣かずに帰れた。でも、部屋に入って、鍵を閉めた所で、涙が出て止まらなくなった。


遅くに彼から電話が来た。

出ると静かに「見たのか?」って。私が「見たよ」って言うと、ため息ついてから最低最悪な事を言い始めたの。

「あの子は新しい彼女。高1で15歳。俺はあの位のが好きなんだ。お前も最初はあんなだったけど最近は胸もふくらみ始めたし、あんまり来ないし。だからあの子を見つけた時に、適当に騙して捕まえたんだ。お前が3月に18になった時に思ったんだよ、もうババアだなって。言うこときかない事も有るしな。でも調教出来てるし、もう少し遊んだら仲間に売ろうかと思ってキープしてたんだよ。でももういいや、新しいオモチャも手に入ったし。もう来るなよ、要らないから。」

「あのDVDは何?」

「金取って仲間内で上映会してたんだよ。始めての時のは特に人気でなあ、リピーターが何人もいたんだ、けっこう儲けさせてもらったよ。いつかの友達って言うのもその一人で、金払うから直接見せろって事であんな事したんだ。マンションの時のも、みんなから金取ってたんだ。俺のオモチャだから最初は触るのは許さなかったけど、そろそろレンタルしようと思ってたんだよ」

「警察にチクってやる」

「証拠は?お前が全部消してくれただろ。」

「死ね!」

切った。

着拒した。


それからは寝ないで、ずっと泣いてた。

いつの間にか寝てたけど、朝になって目が覚めたらまた泣いた。

別れて悲しいんじゃない。高校生の3年間、あいつにされた事、オモチャにされた事、売ろうとしてた事、全部が悔しくて泣いた。

頭がおかしくなりそうだった。


多分お昼過ぎ頃だったと思うけどよく覚えてない、ピンポンが鳴ったの。

無視したけど、何度も。

誰だよ!って思って覗き穴見ても誰もいない。

またピンポン鳴ってから、ドアの外から

「美佳ちゃん、大丈夫?」って子供の声がしたの。

ドアを開けると、こうちゃんがいたの。

「こうちゃん、こんにちは」

私、なんとか笑顔作ったけど、泣きすぎてひどい顔してたはず。

「美佳ちゃん泣いてたでしょ、どうしたの?」

私の部屋からはこうちゃんの部屋しか見えなくて、いつもレースのカーテンだけだから、こうちゃんの部屋から見えたんだね。思わず膝ついて抱きついて、わんわん泣いたの。

「美佳ちゃんどうしたの?どっか痛いの?」

「痛かったけど、こうちゃんのおかげで治ったよ」

ホントだよ、心が痛くて泣いてたけど、こうちゃんのおかげで痛くなくなったよ。

こうちゃんがずっと頭を撫でてくれたの。

この子は私の天使だって思ったよ。


そのあとも、一人で思い出した時は泣いたりしたけど、休日に出かける事が少なくなったから、こうちゃんとの時間も増えて、いつの間にか泣かなくなってたの。

こうちゃんがいなかったら、やけになってたかもしれない。

よなよな出かけて露出して、誰とでも寝る女になってたかもしれない。

私を助けてくれたのはこうちゃん。

私の天使はお隣に住んでるの。



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