劣等団員
「大丈夫?」
観客が、ザワザワとした。
驚きの場面で出るものとは、違ったザワザワ。
「新人?」
「見たことないな」
そんな声が、飛び交った。
サーカスは、スゴ技を見に行くもの。
しかし、そこにあるものは、ほぼ心配だけだった。
少しだけだが、可愛さも漏れていた。
「練習では、完璧だったのにな」
「本番は、やっぱり違うか」
近くの関係者が漏らす。
緊張は誰でもする。
でも縄跳びで、全然地面から足が離れていない。
もう、笑うしかなかった。
少しずつまわりに、あたたかい笑い声が生まれた。
やさしい手拍子に、ふわふわと包まれた。
「ミイちゃん、良かったね」
「受け入れてくれたよ、ミイちゃん」
関係者がそう漏らすと、ミイちゃんは、力ある声を響かせた。
『ニャーーー』